中国浙江省杭州市下沙留学生活


文化教育学部国際文化課程
岩崎紘子

<留学の動機>

 留学をしようと考えている大学生の動機は、大体三つに分けることができるでしょう。①将来の目標・やりたいことが決まっていて、それを実現させるために留学が必要。②もともと留学先の国に興味があり、その国の言語・文化を勉強していて、留学によってさらに知識を深めたい。③将来的に明確な理由は無いが、なんとなく留学に興味がある。なんとなく外国語ができるようになりたい。

 私の留学の動機は②③に近いです。知り合った外国人の中で意外と③の理由で留学に来た人も多い印象にあります。外国に来て気づいたのですが、日本人は留学に対してかなり抵抗を持っている国民だと思いました。というより外国に対して免疫が少ないという感じです。ここ浙江理工大学では、日本人留学生は私一人だけです。留学生の中には、自国では周りが皆海外に出ているから自分も留学している、といったような人も沢山います。私は留学において動機はそんなに重要ではないなと感じています。留学してからは、興味関心、やりたいことが沢山出てくるはずなので、軽い気持ちで留学して失敗・苦労をしたとしても、私はそれがマイナスだとは思いません。それも経験の一つとなるからです。留学を絶対にするべきだとは全く思いませんが、日本人はもっと海外に目を向けるべきだと切実に思います。他の留学生達は皆が皆、私たちと同じような学生だとは限りません。以前仕事をしていた人や、高校卒業と同時に来た人、年齢も幅広くさまざまです。彼らと交流していると、留学というものが特別なものではないと感じてきます。

 では今から少しでも中国留学に興味のある人のために、これはぜひ知っておいてほしいという事をいくつか簡単に紹介したいと思います。

<生活面>

はじめに、中国は中国だと一括りに出来ません。どういう意味かと言うと、私の留学は中国留学ではなく、あくまでも中国浙江省杭州市留学だということです。ここ杭州は中国の中の一部の富裕層が集まった大都市です。そのことを念頭に置いて私の話を聞いてください。杭州で生活する上で一番はじめに準備するべきものは、中国の携帯電話番号です。携帯電話ではなく大切なのは中国の電話番号です。これがないと中国の銀行口座が作れません。そこからがスタートです。生活自体は日本とあまり変わらないと私は感じています。しかし食べ物が合わないと本当に辛いらしいです。韓国人の友達はそれで苦労しています。私は全く問題ありませんでしたが、皆と食事の時は、食べられない物ははっきりと伝えることが大切です。衛生面はやはり少し悪いです。しかし食事の時などは自分で対処することができます。出された食器を自分で拭いたり、水は絶対買った物しか使わない等々。私は学校の留学生寮で生活をしているのですが、この寮は男女混合の寮で、他の国の留学生と交流する時は注意しなければならないことが意外と多くあります。各国の学生とは文化・習慣の違いが大小少なからずあるので、自身の言動に注意を払う必要があり、トラブルがおきたり、受け入れられないことがあっても、一旦落ち着いて考え、さらに自分がどう思っているか、どうしたいかはっきり意見をしなければなりません。たぶん現地の人と交流するよりも難しいことがあるかもしれません。しかし喋ることができなくても必死に伝えようとすればなんとかなります。そして、中国留学において一番困るであろうことは、通信面でしょう。中国大陸ではLINEFacebookTwitterGoogle、といったような通信APPがほとんど使用できません。そこで私は中国版LINE微信を使って連絡をとっています。中国には中国国内でしか使えない便利なAPPが沢山あるので、現地の人に聞いて自分で試して見るのも面白いです。私は今bilibili動画という日本でいうところのニコニコ動画のような動画サイトAPPを利用しています。日本とリアルタイムでアニメを見ることができます。アニメは日本語がほとんどですが、中国語の字幕付きなので、日本語の微妙な表現を知ることができます。


韓国の留学生と

<金銭面>

 中国の物価は日本の物価に比べてやはり安いです。私は留学生寮の二人部屋に一人で住んでいるのですが、寮費は1か月約12,000円(800元)くらいです。二人で住んだ場合はその半分になります。私は一人で住むのをおススメします。一部屋に一つずつシャワーとトイレがついていますし、もし二人で住む場合は相手は外国人です。日本人とは意外なところで生活習慣が違います。その小さな違いが沢山あり、私は日本人にとって少し厳しいと感じています。夜遅くまで勉強したりできるのが一人で住む利点です。一人で住んだとしても日本で一人暮らしをするよりは安いですね。留学費用についてですが、留学する直前・直後が一番お金がかかります。保険だったり飛行機チケットだったりさまざまです。私は大学入学直後から留学ギリギリまでバイトをしていたので、留学直前・直後にかかる費用はほとんど自分で対応できました。バイトと学校の両立のためにかなり不規則な生活を送っていたので、留学してからむしろ体調は良好です。それでも日本にいたころの習慣で早く寝ることができません。中国では交通費もかなり安いです。タクシーも沢山利用できます。しかし、チョコレートや紙類の物価について言えば日本とあまり変わりません。少し高い場合もあります。そういったところも面白いと思います。一回の食費は学食なら150350円(6~15元)くらいで、少し高めのお店で食事をしても1000円ちょっとです。しかも沢山食べられます。


<学習面

 私は前学期中国語だけの学習過程です。専門の授業は受けることが出来ません。先生に要求すると専門の授業を傍聴することが出来ます。中国語学習のクラス分けは学期の始めに簡単なテストがあり、その結果に従って能力別にクラスが分けられます。ここで日本人にとって大きな落とし穴があります。日本人は中国語学習者ではなくても漢字が分かるので初級の中国語なら文を理解することが出来ます。テストは筆記試験だったので日本で中国語を勉強していた私にとっては比較的簡単な問題でした。その結果私は一番上のレベルのクラスに入ってしまい、クラスメイトは漢字が苦手でも喋るのは上級者の方ばかりで、最初の一か月は授業で本当に苦労しました。中国語の場合、日本人は書く力と聞く力に大きな差がでるので会話で苦労します。私のクラスは少人数クラスで、発表や討論もよくあります。毎日の予習・復習・課題が大変ですが、授業はやりがいがあって楽しいです。授業で一番重要なのは予習だと思います。予習をしていないと最初から最後まで授業についていけません。どこの国へ留学するにも同じだとは思いますが、留学する地域についての知識や、最低日本の中学生レベルの公民の知識は持っていなければならないと思います。質問された時にわかりませんと答えるのは非常に情けないです。現在、私は夏休みにHSK5級のテストを受け、次の学期に専門の授業を受けられるように奮闘中です。

<杭州市>


 現在、私は中国で旅行などは全くしていませんが、杭州には近場で面白い場所が沢山あると感じています。日本人の留学生は杭州市全体で見てもかなり少ないですが、近くのBARなどに行くと日本企業で働いている日本人の社会人のおじさん達に会うことが出来ます。いろいろな話を聞くことができます。さらに杭州市はアニメ・ゲームに関するイベントが沢山開催されています。私も五月に杭州市で毎年開催される中国最大のアニメ・コスプレイベント「中国国際動漫節2015」に行ってきました。人がとても多く熱気のあるイベントでした。杭州市では日本のアニメやコスプレといった、日本のサブカルチャーに興味のある人が思った以上にいます。杭州市はヲタクにとって大変有意義な地域です!!さらに若者文化だけではなく、中国古代の街並みを保っている町や、歴史的な文化財などが多く残っている地域で、中国人にとっては、日本人にとっての京都のような地域です。もっと沢山杭州市について紹介したいのですが、留学する地域への感じ方は留学する人それぞれなので、興味のある人はぜひ杭州へ行ってみて下さい。私は今のところ杭州市でサブカルチャーを満喫していますが、これからもっといろんな事を見つけていこうと思います。

 どの地域に留学しても、留学生活がどのようになるかは全て自分次第です!他人とは違う自分だけの楽しみを見つけるのは本当に面白いですよ!!!

中国国際動漫節の会場入り口

とある中国人コスプレイヤー


浙江理工大学服装学院の卒業制作発表ファ
ッションショー

とても有名なイベントで
、地元のテレビ局も取材に来ました
 

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