8000キロを超えて

 8月からリトアニアのVytautas Magnus Universityに来ています、文化教育学部国際文化課程3年西田可奈子です。ここへ来る前、たくさんの人にポーランド?スペイン?モンゴル?などとさまざまな国を挙げて尋ねられましたが、私は今リトアニアにいます。日本ではリトアニアの認知度は低いように、私も以前はリトアニアという国については、ほとんど知りませんでした。そんな私がなぜこの地へ来ることになったのか。それは、ふとしたことで、「リトアニアとフィンランドの説明会にも来て見てください」というような知らせを見たので、行ってみたのでした。すると、

1.      英語教育が日本より進んでいる。
2.      若い人はたいてい英語が話せる。
3.      日本人が少ない(と聞きました)
4.      生活費、寮費が安い
5.      日本人と気質が似ている、親日である(と聞きました)

 

ビリニュスの聖アンナ教会
 
 あ、リトアニア行きたい。と、この時まだ十分な点数も持ってないくせにそんなことを考えました。それで、オンライン申請をして、勉強を始めたのでした。
私が聞いたことは、当たっていることも、少し違うことも、期待を上回ることもあります。


リトアニア料理
 
 私は、佐賀大学では小学校教員免許と、中学校英語の免許の取得を考えています。日本ではもうすぐ小学校で英語教育が本格的に始まろうとしています。一方、リトアニアでは、すでに小学2年くらいから英語を学び始めます。私にとって、ここで英語教育について学ぶ価値があると思いました。実際に、リトアニア人の英語力の高さには本当に驚かされました。学生は英語が上手だし、どこのお店に行ってもたいてい英語で対応してくれます。

寮で日本語の勉強を始めた韓国人留学生
 
 ここへ来る前、アジア人はリトアニアでは珍しいと聞いていました。確かに、多くはありませんが、自分の想像以上にたくさんの日本人がいてびっくりしました。留学生の中で、日本人は13人、韓国人は20人ほどいるそうです。こんなに日本人が多いのは初めてとのことです。ここでは、日本にいては会えないような国の出身の人と交流することができます。カザフスタン、ウクライナ、ジョージア、チェコ共和国、スロバキア出身の人に会ったのは初めてでした。とにかく多くの国から留学生がきています。

 私が初めて友達になったのはトルコ出身で、私のルームメイトはラトビア出身です。ラトビアの彼女は、家から車で3時間できたとのことです。島国の日本では考えられず、そんな留学もありなのかと思いました。留学生のほとんどが、英語以外の母語を持っているので、英語は共通語ということになります。すべての留学生とリトアニアの学生が上手に英語を話します。しかし、一言に英語と言っても、出身国によって、多少なりともなまりがあるので、全く聞き取れないことがあります。日本人の英語も然りで、うまく伝わらないこともあります。言語の壁はありますが、ここの生活は楽しいです。寮で過ごしていると、全く知らない言語がしょっちゅう、あちらこちらから聞こえてきます。私は今まで、英語とドイツ語しか学んだことはありませんが、ほんとに、世界にはいろいろな言語があるんだな~とつくづく思います。それだけで世界が広がった感じです。
 
インターナショナルディナー、スロバキア編
 
 自分の英語力の不足については毎日痛感しています。私はこっそり友達の日常英語の表現を盗んだりしています。そうすると毎日が、新しい英語の発見です。

 費用についてですが、こっちは食べ物がとにかく安いです。パン屋さんへ行けば、60円ほどで買えます。日本だと200300円くらいしますね。交通費も安くて、学生だと半額になったりします。こんなの100均で買えるのにと思うこともしばしば。衣類は少し高めですが、マーケットなどに行けば、安く売っています。寮費は、13ユーロなので、月に123千円で住めます。キッチンをフロアごとに共有して自炊しています。また、全ルームWi-Fiが使えます。部屋から一歩出ると、誰かしら留学生に出会います。知っている人でも、知らない人でも、みんなHi! Hello! などと言ってあいさつします。初めはすごく戸惑いましたが、今はとても楽しいです。エレベーターやランドリーで偶然会って、話して友達になることもよくあります。寮から10分ほど歩いたところに、Akropolisという、大きなモールがあります。そこに行けば、何でもそろいます。買い物だけでなく、アイススケートやボウリング、映画館などもあって楽しいところです。映画は600円ほどで見ることができます。

 
寮の6階の部屋からの景色です。このころは、9時まで外が明るい。
 
 授業についてですが、私は5つとっています。一つの授業が週に何回かあったりします。授業は英語で受けますが、講義がリトアニア語でしかしないという授業もあります。そんなときは先生が、コンサルテーションという形で別の時間に英語で授業をしてくれます。

 秋学期が始まる前に、Survival Lithuanianという授業が先にありました。生活するうえで必要なリトアニア語を学ぶのですが、これがまた、とても難しかったです。欧米の学生がすらすら答えているのに対し、私は毎日、四苦八苦していました。難しかったのですが、リトアニアを学んでよかったと思えることがたくさんあります。リトアニアでは、若者はリトアニア語と英語を話すのですが、年配の方はリトアニア語とロシア語を話します。私は、あいさつ程度のリトアニア語しか話せないのですが、地元の年配の方と交流しました。言語と世代を超えた交流ができるのは、本当に楽しく、うれしいものです。

マーケットで肉を焼いていたおじさんの帽子
 
 英語ができる人も多いのですが、私は最後のお礼は必ずリトアニア語で言うようにしています。なぜなら、Ačiū(ありがとう)と言えば、リトアニアの人は、みんな微笑んでくれるからです。リトアニア人はあまり笑わないとよく聞きます。確かに、お店などに行って、「この人怒ってんのかな~」と思うことがよくあります。しかし、そんな人でも最後には微笑んでくれるので、Ačiūと言えれば、私はとても満足です。

 毎週金曜日にはよく、橋という日本クラブに参加します。たくさんの日本に興味がある学生が、杉原千畝記念館の2階に集まります。アニメや折り紙にマニアックな人もいて、私より日本のこと知っているのではないかと思います。皆とても親切で、ラーメンやすし屋さんに連れていってもらいました。

杉原千畝記念館
 
 リトアニアはヨーロッパ圏なので、旅行もしやすいです。自分で行くのもいいですが、ESNという団体がたくさんのイベントや旅行を計画してくれます。それに参加すれば、安心して旅行することができます。この団体が計画してくれていたオリエンテーションウィークのおかげで、ここへきて最初の1週間は毎日イベントごとで、とても充実しいていました。新しい友達を作るのにもとてもいい環境です。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。少しでもリトアニアに興味を持っていただけたらうれしいです。

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