C’est la vie.



 Bonjour à tous !皆さんこんにちは。フランスのブルゴーニュ大学に留学中の文化教育学部3年古賀淳美です。突然ですが皆さん、フランスというとどんなイメージがありますか?エッフェル塔に凱旋門、美食とワインの国、ファッションやコスメの最先端・・・おそらく、美しく優雅な、素敵なイメージがあるのではないでしょうか。それもまた事実です。しかし、日本とは違った難しいことがたくさんあります。外国人としての私のフランスでの生活は、まだまだ毎日がアドベンチャーで泥臭い日々ですが、刺激的で充実感に溢れています。


私が留学を決めた経緯

 私は小学生の頃からあることをきっかけに、ヨーロッパの歴史に深い関心を持っていました。大学でも迷わずその系統に進み、1年生の後期、海外実習という単位付きの研修でついに念願の初渡仏を果たしました。初めて見るヨーロッパの町並みや遺産、食べ物に新鮮な感動を覚えるとともに、1年間学んだはずのフランス語が日常会話すらまともにできないこと、興味を持っていたはずなのに知らなかったことが多すぎることに、ショックを受けました。フランスは歴史や文化など実に多方面で存在感を放っているとともに、移民事情やジェンダー事情、食料自給率の高さなど、現代社会においても特色を持っています。そんな多くの顔を持つフランスを、フランス語で、フランス人の感覚で見てみたい!フランスを通して、もっと広い世界を知りたい!と強く思い、2年生の4月から交換留学を見据えた準備を始めました。

私が住んでいるDijonについて

 ディジョンはブルゴーニュ地方の中心都市で、パリからTGV(高速新幹線)1時間半程のところにあります。古くは大きな公国として栄えたので、その面影は街の至る所に見受けられます。ブルゴーニュ地方は古くから世界最高峰のワイン生産地として有名で、つい3ヶ月前に広大なブドウ畑が世界遺産に登録されました。ちなみに、エッフェル塔を作った人も凱旋門を作った人もディジョン出身です。パリやマルセイユほどの大都市でこそありませんが、佐賀で生まれ育った私としては申し分ない便利な街です。トラムという路面電車で駅から旧市街、郊外の大型ショッピングモールまで移動できます。他にも路線バスがたくさん通っていて、いずれも10分間隔くらい、早朝から深夜まで運行しています。治安や衛生環境も大都市ほど悪くなく、私としては大変居心地が良いです。

フランソワ・リュード広場。街の中心部です
 
フランスでの勉強について

 フランスの大学の学部へ入りたいなら、最低でもDELF B1(仏検2級相当)、もしくはそれ以上くらいの語学力が必要です。私は2年生からこれを目指してきましたが、3年生の前期にDELF B1に合格できなかったため(DELF A2を持っています)、大学附属の語学学校へ通っています。語学学校のレベルは1から5まであり、私は現在2に在籍中ですが、先生との相談によってはクラスの変更が可能です。佐賀大学の交換留学生として在籍しているため、聴講という形で学部の授業を受けることができたり、学部寮に住めたり、という非常に良い待遇です。先生やクラスメイトも優しく面白いので、毎日楽しくフランス語で会話しています。ここの学生はみんな、フランスに学びに来た外国人で、日本人もいます。この語学学校はexcursion(遠足)の企画がたくさんあったり、フランス語だけでなく歴史や文化などの授業も受けることができます。先日は日帰りでボーヌに行きました。先生がゆっくり丁寧に解説しながら、安い旅費で一人では行けないようなスポットに連れて行ってくれるのでとても良いです。他にもスイスへ日帰りで行く企画があります。

世界遺産のブドウ畑、中世のブルゴーニュ建築、伝統の肉料理と赤ワイン
 
私の生活について
 留学生寮ではなく学部寮に住んでいるので、住人もフランス人が主で日本人は全く見かけません。しかし皆優しく、落ち込んだ日もワインを分かち合ってくれたりします。さすがブルゴーニュです。部屋はシャワールームとトイレがありますがキッチンは階ごとに一つある共同のものです。フランスは農業大国かつ美食の国なので、おいしいパンや新鮮な野菜、チーズなどが安く手に入ります。私は他の学生と同じように郊外の大型スーパーで安く買い物を済ませています。しかし自炊でとれる栄養素にも限度があるので()、お昼は学食に行っています。3.25ユーロ(400円ちょっと)くらいであったかいおいしい料理やデザートがお腹いっぱい食べられるので、泥臭く毎日冒険する私の栄養源になっています。ちなみにお店についてですが、24時間営業はなく、日曜日は基本的に空いていません。コンビニもファミレスもありません。窓口関係は、大学のオフィスでも平日はだいたい12時から14時まで閉まります。フランス人のお昼休みを邪魔してはいけません()。でも昔ながらのマルシェ(市場)でのやりとり、曜日や時間を考えながらの生活は、便利すぎる社会で生きる現代人に何か考えさせるものがあります。わたしは全く苦に感じず、むしろ良いのではないかと思います。

ある日の学食 パンは1個なら無料です

 渡仏して一週間の間は、一人も日本人と出会わず、日本語を知る人も全くいない中で手続きを進めてきて、毎日が冒険でした。二度目のフランスとはいえ、驚きもたくさんです。上げ膳据え膳、お客様は神様精神の日本式対応がここでは全く通用しません。早口のフランス語で言い放たれたり、面倒だと無視されたり、昼休み前なのに早くしてくれと平気で言われたりします。日本語はおろか英語も通じない、頼れる人もいない。そんな環境で初期を過ごしましたが、以前の渡仏で全くできなかったことができるようになっていたり、時間をかけつつも一つ一つ壁を乗り越えていったり、その充実感の方が大きいです。どんな時でも笑顔であいさつとお礼、簡潔にはっきり伝えること、これだけは忘れないようにしています。困り果てて途方に暮れるときもありますが、毎日誰かの優しさに触れるので、それで全部帳消しです。上手くいかないことだけを見つめて憂鬱になるより、小さな優しさや小さな成長に喜びを覚えながら毎日を過ごしています。上手くいかないことがあった時、フランス人は“C’est la vie.(それが人生さ)”と言ってよく苦笑いします。そう順風満帆にいかないのが人生ってもんさ、といったところでしょうか。私は以前からこの言葉が大好きですが、ここでの生活を始めていっそう実感します。佐賀での平和な生活も大好きでしたが、異文化に揉まれながら、自分を奮い立たせながらの生活は、刺激的で魅力があります。まだまだ私の留学生活は始まったばかりですが、今しかできないことをたくさん経験したいと思います。何をもって充実とするかは人それぞれですが、私はこの生活を選んで本当に良かったです。2年生で決心してからずっと支えてくれる家族や先生方に、心から感謝しています。フランスへの交換留学を考えている方は、ぜひいつでも遠慮なく相談してください。それではみなさん、 À bientôt

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