たくましく生きています



【自己紹介】
こんにちは。この日記を書くにあたって、まずは自己紹介をしたいと思います。私は佐賀大学部理工学部機能物質化学科4年の山下雄大といいます。出身は宮崎です。大学では国際交流サークルに所属し、大学内、地域のイベントを通して留学生との交流をしています。

留学までの経緯としましては、大学二年の前期あたりから国際交流に興味を持ち始め、留学生との異文化交流を通じ、新しい発見をする喜び、異文化に触れる楽しさを感じるようになりました。その一方で同じ時期に自分の専門ばかりに時間を費やすだけの生活へのもどかしさも自分の中に生まれ始めました。一昨年、佐賀大学の短期留学プログラムで杭州、上海へ、さらに去年内閣府の事業で中国の各都市を訪問する機会をいただき、ますます海外への関心が高まり、留学に踏み切りました。中国を選択したのは英語以外の第二外国語を習得したいという気持ちが前提にあり、また仲のいい留学生の多くが中国人、台湾人であったからです。

残念ながら、佐賀大学における理系学生の留学はほとんど前例がないそうですが、佐賀大学では学部学科関係なく全ての学生が国際課の方々の手厚い支援を受けながら交換留学の機会を手にすることができます。国際交流に興味のある方、すでに留学を決断している方、しようかなと迷っている方、全く留学など頭にない方様々だと思いますが、この日記を通して少しでも『留学とはこういうものなのか』とイメージの助けになれれば幸いです。
 
万里の長城にて撮影。かなりイケてる写真です。


【留学事前準備】

私はEPISプログラムという研究室に所属しながら英語で理系の授業をとり、さらに中国語を学ぶというコースを希望しました。故に留学にあたって、中国語検定やHSKではなくTOEFL ITPのスコアが求められました。500点を目指して勉強を始めたのですが、大学の講義で本格的に英語に接する機会も少なく、高校時代の知識も抜け落ちていましたので、勉強初めはかなり苦労しました。まず単語一冊をまる暗記し、その後文法の対策本を10周くらいしました。リスニング対策としてYOUTUBEで興味のある英語のスピーチをダウンロードして聞いていました。初めは全く点数が伸びませんでしたが、根気よく続けていると三か月後あたりから急激に伸び、四か月後にようやく目標の点数を超えることが出来ました。また、英会話力を養い維持するために台湾人の友人と英語でコミュニケーションをとるように心がけました。(これが留学後かなり役に立ちました。)

【北京生活の始まり】
二月の前半に到着し、北京はすでに春を迎えていました。・・・にも関わらず、佐賀に比べてかなり寒く、この寒さとこれから先の生活への不安から日本がとても恋しくなったのを鮮明に覚えています。空気も日によって良し悪しがあります。中国の空気についてはメディアを通じてみなさんの多くがご存知でしょうが、本当にひどいときは遠くが見えなくなります。マスクはなるべくしたほうが良いのでしょうが、私はしていません。北京の空気をたくさん吸って中国を全身で感じています。時々、喉がイガイガします。

中国とはいえども北京の物価は割と高く、物によっては日本の物価よりも高いものがあります。基本、中国では携帯代金や家賃は前払いが一般的であるため、留学生活の序盤はかなりお金が必要でした。(予想以上にお金がかかったので家賃滞納しました。) 交通費は日本と比べると比較的安いです。特に地下鉄は北京中の移動にはとても便利で、よく利用しています。

生活が始まると突発的なトラブルも多く、部屋が開かなくなったり、急に電気が止まったり、部屋を急に変えるように言われたりと最初は頭を抱えていましたが、今ではすっかり慣れました。こうしてじわじわと中国に染まってきているなと感じます
 
ある日の北京の空気。先が見えない。


【留学生活】

冒頭で述べたように自分は英語で専門の授業を学びながら、一方で中国を学ぶというEPISプログラムコースです。参加しているクラスメイトは7人で、フランス人が5人、ドイツ人が1人、そして自分です。ただヨーロッパ圏の人からすると中国語の漢字は非常に難しく、すでに多くの漢字を知っている自分との差が最初から大きかったため、先生の提案で中国語の授業は全て中国語を集中的に学ぶプログラムの授業を受けています。中国語の授業は毎日予習、復習をして挑んでいるので全く問題はないのです。日本人にとって漢字を知っているというのは大きなアドバンテージですね。

しかし、やはり英語における授業では本当に苦労しています。何よりも化学を日本語で学んでいたために、英語の専門用語がわからず、話についていけず毎回ディスカッションの際に自分の英語力の乏しさを痛感させられます。唐突に、前に出て日本について10分間で紹介してなど求められることもしばしばです。初めは自分の英語にコンプレックスを感じ、クラスでも初めはなかなか馴染めず、中国にも関わらずアジア圏の自分がマイノリティになるという不思議な体験をしました。一緒にお酒を飲み歩いたり、遊びに出掛けるうちにすぐに距離は縮まりました。

英語と中国語同時に力を入れているので、時々頭が爆発しそうになります。

 
クラスメイトと脱出ゲームに参加。
実験中。薬品が中国語であるため何もわからない。


【寮】

多くの国の学生が中国に学びに来ているため、寮の中にいればいつでも異文化交流ができます。来たばかりの時は寮内で廊下を歩いていたり、洗濯したりの普段の日常の生活の中で手当たり次第にすれ違う学生に「Hi!」、「How are you?」と声をかけていまいた。反応は様々ですが、多くの学生が「どこから来た?」「日本かよ!クールだぜ!」などとすぐに打ち解けてくれ部屋に招いてお茶を入れてくれたり、民族の楽器の演奏を聞かせてくれたりします。よく「どこの県からきたの?」と質問されるのですが、ほとんどが東京、大阪以外知らないので、初めは宮崎や佐賀を説明するのになかなか手間がかかっていました。今では「福岡から来た!東京・大阪・福岡は日本でBIGな街だから!」 と言っています。ちょっと胸が痛いですが。佐賀・宮崎のみなさんごめんなさい。ちなみに宮崎出身であると中国人に言うと、中国ではジブリアニメーションの宮崎駿さんが有名なので、名前の漢字が一緒なので一瞬ざわつきます。

ルームメイトはベトナム人で学部生なので、中国語はペラペラです。ベトナム人留学生達のリーダー的存在なので非常に頼りになります。彼は英語が話せないので、コミュニケーションは中国語を用いる必要があります。そのため、まだ会話はぎこちないですが、いつも私の生活面や学習面の心配をしてくれます。
 
イラン人のお茶会に参加する。
部屋のボードにルームメイトが漢字を書いて教えてくれる。謝謝
【温かい中国人達】
彼らは中国語を叫ぶように話すため、慣れないうちは怒っているのではと勘違いしてしまい、ちょっと恐れてしまいがちですが全くそんなことはありません。多くがフレンドリーでとても親切です。例えば困ったことがあった時、1頼んだら10になって返ってきます。いわば、すごく世話好きです。友人関係も友人の友人、そのまた友人と広がっていくので、友達はすぐに増えていきます。みんな会ったその日に「ぜひ次回は料理をご馳走したい!何食べたい?」と言ってくれます。私はいつも毎回「北京ダックはどんな味がするのかな?おいしそうだなあ」と答えます。この2か月で北京ダック5回もご馳走になりました。「パンダかわいいな」といえば、すぐに動物園まで連れて行ってくれました。よく行く食堂のお店のおばちゃん達は私の顔を覚えてくれているので、ご飯の量を2倍にしてくれたり、小籠包を多めに入れてくれたり、おかずを一品足してくれます。道に迷ったら、人によっては一緒にバスに乗ってまで案内してくれた方もいました。日々、彼らの温かさを存分に感じながら北京で生活しています。
北京ダックを食べる。ごちそうさまです。
念願のパンダを見るもさぼり気味。喝!


【最後に】

キャンパスではたくさんのイベントがあります。学部対抗のスポーツ大会、運動会、歌のコンテスト、カラーランetc. 勉強はもちろんですがこういったイベントを通して、中国人や他の留学生と交流できることに留学ならではの楽しさを感じています。

先日、中間テストを終えたので留学生活の5分の1が終わりました。たった2か月ですが、振り返ると確かに楽しいことばかりではありませんでしたが、それでも留学に踏み切った選択は間違っていなかったと思っています。読んでくださる方の中に、まだ留学に踏み切れない方がいるのなら思い切って決断してみてください。思っている以上に現地にくれば生活は難しいものではありません。しっかり食べて、しっかり寝ればたいていの辛いことは乗り切れます。愛想よく振る舞っていれば、友達だってすぐに出来ます。人に感謝することを忘れなければ、多くの人が困った時助けてくれます。全てがなるようになります。

まだまだ私の留学は始まったばかりです。これから今まで以上に挫折を経験するとは思いますが、それ以上に楽しいことがあると考えると自然と気持ちも高まります。帰国後、皆さんに成長した姿をお見せできるように今後もまだまだ日々精進していきます。ありがとうございました。 
日本人留学生で浴衣を着て運動会の開会式に参加する

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