韓国・大邱(テグ)大学での研究留学について



 初めまして。佐賀大学工学系研究科循環物質化学専攻修士1年の諸藤です。私からは理系ならではの研究留学についてお話させていただきます。

 まずは研究留学に至った経緯なのですが、理由は簡単で「韓国に無機化学の知り合いが居るのだけど、諸藤さん留学してみない?」と言われたことです。もともと海外で研究をしてみたいという趣旨を先生に伝えていて、運良く、留学できたといったところです。 

 しかし、留学してみてからが問題で、大邱大学では大学院生の交換留学というものを行っていないらしく(学部生の交換留学は行っています)、私は“学生”ではなく“研究員”として交換留学させてもらっています。また、韓国に留学するのですがあくまで研究留学(語学留学ではない)ですので、使用言語は英語です。ということもあり、最初の対応はあたふたしていました。まず、ドミトリー(寮)に入寮できるか不明(日本の方で入寮希望を出していたはずですが…)、オリエンテーション無し(後日別枠で参加しました)、学食の使用方法がわからない(ほぼ…、全部ハングルです)、銀行が近くにない(1ヶ月後、自力で近くのATMを見つけました)、研究室のコアタイムが不明瞭(いまはだいたい10時~20時まで研究室にいます)など、トラブルしかありませんでした。多分皆さんは、はじめの1ヶ月目は新しい生活にワクワクし、気持ち的にも上昇傾向であると思いますが、私の場合ははじめの1週間で心が折れました。大邱大学も私のような留学生がはじめての経験で対応しきれていないと言ってたのも私にとっては不安要素で、あれこれあってポッキリ折れました。けれども、ここで折れた心をこれから1ヶ月後の今の私にまで回復してくださったのがShim先生でありラボのメンバーでした。ラボは韓国人2人(+1人と新しく学部生が1人入る予定)、ベトナム人が2人、日本人1人の計5人(2016.10現在)です。


  
 
ここからはラボでの実験についてお話します。Shim先生のラボはおもに燃料電池の開発に重きを置いた研究を行っています。燃料電池とは高校で習った水の電気分解反応(2H2O →2H2 + O2)の逆反応を使った、水素と酸素から水をつくる過程で電気エネルギーを取り出し、そのエネルギーを利用した電池のことをいいます。エネルギーを生成後の産物として水しか作らないので、次世代のとてもクリーンなエネルギーとして注目されています。しかし、燃料電池の電極(触媒)には貴金属のプラチナがよく使用されるのですが高価であるため、その代替金属触媒が求められています。Shim先生の研究室ではプラチナの代わりにパラジウム、金、ニッケル、鉄などより安価な金属での燃料電池の開発を目指しています。佐賀大学で無機化学錯体の研究をしていた私にとって燃料電池は無機化学分野ではあるけれど畑の違う研究です。なのではじめの1ヶ月は基礎実験、練習実験をさせてもらいました。Shim先生もいろいろ考えてくださっていて、帰国後も応用できるようにと無機電気化学というカテゴリーで携わらせてくれています。英語でのディスカッションになりますので専門用語がなかなか出てこなかったりして悪戦苦闘していますが、ここの研究室はみんな英語が母国語でないので、みんな身振り手振りでディスカッションしています。いまは以前よりも余裕を持って楽しく実験しています。



  次に韓国での生活についでお話します。物価は物によりますが日本より少し安い感じです。牛乳、シャンプー、トイレットペーパーに至ってはものすごく高く感じました(日本の2~4倍の値段)。また女性には嬉しいカロリー表示が絶対目に見えるところにしてあります。韓国のトイレは基本的には日本と同じなのですが、たまにトイレットペーパーを流してはいけないところもあります。一番驚いたのがやはり料理です。韓国料理は皆さんご存知のとおり辛いものが多いのですが、日本人の辛いの常識をゆうに越してきます。私は辛いものが食べれないわけではないのですが、ほとんど食べれていません(つい先日、あまりの辛さに身震いして、涙を流しました)。韓国人のおすすめ、また基準の辛さは基本的食べれません。が、味は美味しいです。辛ささえなければもっと楽しめるのになぁと思っています。ただ、サムギョプサルは断然美味しいです。また、値段もかなり安くて8500ウォン(日本円で850円)だけで食べ放題です。時間制限もありません。韓国大邱に来た時はぜひ食べてみてください。




 それから、公共の交通手段がとても整備されています。韓国人は日常的にバス・地下鉄を使います。値段は日本みたいに距離で変わるのではなく、バス一律1200ウォン、地下鉄一律1400ウォンです。またT-moneycard(日本で言うSUGOCAのようなICカード)を使えば100ウォンのディスカウントを受けれて、また30分以内の乗り継ぎなら無料でバスを利用することができます。ですので週末は日用品を買いに街に出かけることも気軽にできます。私の場合は息抜きや生活必需品を買うために一人でフラっとバスに乗って行ったりしています。



最後に、つい先週参加させていただいた釜山での化学学会のときの写真をいくつか上げさせて頂きます。







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