オランダ デザインアカデミーアイントホーフェン


皆さんこんにちは。芸術地域デザイン学部芸術表現コース4年の江越未悠です。

オランダのデザインアカデミーアイントホーフェン(以下DAE)への交換留学について紹介します。20202月から7月のSTUDIOプログラムに参加しました。しかしながらコロナウイルスの影響により三月末に帰国し残りはオンラインで終えました。

 

きっかけ

2020年度は開講されていませんが、ドイツオランダの芸術海外交流実習という、ドイツオランダのデザインや芸術、DAEとハレの見学、ダッチデザインウィークの見学を含んだ、海外研修に参加したことがきっかけです。私は20171年生のときに参加しました。DAEGraduation show MINEDの見学で卒業生の作品を見たときにコンセプト重視のデザインやデザインを通して社会に新しい考え方を提案するような、コンセプチュアルデザイン(ダッチデザイン)の魅力に心奪われ、ここで学んでみたいと強く感じました。

 

オランダ

オランダはとてもいい国です。大きさは九州ほどです。芸術、デザイン、建築、教育、農業、ヘルスケアのなど様々な分野に秀でていて、英語を老若男女ほとんどの人が話せます。同性婚の合法化を最初に認めた国です。土地がとても平らで佐賀のように自転車でどこまででも行けます。山がないせいか、冬から春にかけてはほぼ毎日夕方に出かけたくない程度の雨が降っていました。ノウサギがいますが野良猫はほとんど見ませんでした。

 

街並み


 

ビザ

ビザは入国してから移民局で指紋と顔をとられて二週間ほどでとります。往復航空券でしたが復路が半年後の便でしたので、乗り継ぎ空港でビザを見せてと言われ焦りました。オランダ語で書かれている書類をあらかじめ印刷しておいたのでよかったですが、韓国人の職員さんが理解していたかはわかりません。日本でやることは学校から送られてくる必要な情報の記入と、所得がありますよという証明のために、オランダが計算する滞在期間に合わせた費用の金額の学校への振り込みが必要となります。その費用はビザ登録に必要な金額をひかれた後、自分が作った現地口座またはオンライン口座に送金していただけ生活費に充てることになります。国際送金は時間がかかりますので余裕をもって行うことをお勧めします。

 

費用

家賃が高いです。私の場合はスタジオタイプという日本でよくある自分の一部屋にキッチントイレシャワーがあるタイプの部屋で7万円から8万円ほどでした。水道光熱費込みで家具家電付きなので身一つで住み始めました。食費は日本より食べ物が安く、外食は高いです。ビザのために振り込んだ金額は60万円です。制作費用や学内のカフェに数千円使いました。航空券は20万円ほどです。

 



DAEDesign Academy Eindhoven

DAE1955年に建てられ、1997年に今の校舎De Witte Dame(The white leady)に移りました。校舎自体は工場跡に公共図書館、Fonty Universityも入っている複合施設です。

「人」を中心核として、あらゆる影響、可能性やつながりを徹底的にリサーチし、コンセプトをつくり、それに基づく材料選択手法をとるデザイン。コンセプト第一の「コンセプチュアルデザイン」(別名ダッチデザイン)というのが特徴です。専攻名も、プロダクトデザインやグラフィックデザインなどのモノを作ることに特化した名前ではなく、Man and Identity, Man and Mobility, Man and Leisure, Man and Motion, Food non Food, Public Private, Well-Being, Man and Activity, Man and Communication といったものがあります。

DAEの魅力は学部生の7割が海外からの学生です。院では9割がオランダ国外からと、とてもグローバルなメンバー構成になっており、授業やディスカッションはすべて英語で行われます。先生方は、一線で活躍されているデザイナーです。制作のための設備もしっかりそろっており、木材、金属、石膏、セラミック、シルクスクリーンプリント、デジタル、摘るタイル、プラスチックのWorkshopなどがあり、それぞれの材料に2人以上の専門スタッフがいて作りたいアイデアを具現化することを手伝ってくれます。





教室

シルクスクリーンワークショップ


 

学生生活

私はデザイン初心者で、佐賀大学での専攻は染色ですが十分学べましたしとてもいい経験でした。DAE交換留学は秋か春かによって内容が違います。秋学期は材料研究で、春学期はコンセプチュアルデザインをクラスの中で一緒に学ぶことができます。就活時期と被りますが断然春学期志望だったので春行きました。現地で過ごした二か月間はすべてが新鮮で面白く戸惑いもありました。科目は選べません。先生となるデザイナーさんたちがそれぞれの授業の目的やテーマを考え、学期が始まってからその内容がわかります。授業は9:30-12:3013:00-16:00の二コマです。一日通して授業があるときもあれば、半日で終わるときもあります。食べながら授業を受けたりするので昼休みというまとまった休憩はありません。コマの途中でコーヒー休憩があります。作品のプロトタイプを作って用意して、授業でショートプレゼン、フィードバックとアイデアをクラスメイトと先生から受け、また二週間後の授業で見せるという風に、授業回数は少ないですがそれまでの準備と考えの整理、なぜそう思ったのか、何をリサーチしたのか、制作実験したのかということが重要になってきます。二週間時間あるからがんばってねと言われていましたが、7つの課題の授業が交互に来るので、時間は全く足りませんでした。オンラインに移行してからもそれは変わらず、目の前の授業に何を準備していくかということよりもゴールにこんなコンセプトで作り上げたいから今回はこの段階のこんな実験をしてみたという考え方になってからはだいぶ楽になりました。制作における考えかた制作のプロセスや、感情を分析する力、資料を探して未来のシナリオを予測することなど、デザイン物のクオリティよりも考える事にかかわる学びが多かったです。

 

日常生活

治安はとても安全で街の人はとても本当にやさしいです。アジア系スーパーやレストランがあります。英語が通じるので、すぐに英語に切り替えてもらえます。自転車で移動しやすく、公共交通機関も充実していて過ごしやすいです。デザイン系のミュージアムがたくさんあって、作者がクロージングイベントのときにディスカッションやプレゼンテーションをするのをよく見に行きました。家賃が高いのはネックですが、食べ物はおいしく安く、おっきなクロワッサンが70円で買えます。スープを作るための野菜や調味料がセットになっているスープボックスが非常に便利で、毎週末よく作っていました。スーパーでは現地銀行のデビットカードか現金しか使えないので注意が必要です。

 


スープボックス

デザインイベント




 

まとめ

コロナの影響で、留学なのに途中から家で受講するという不思議な体験をしました。コンセプチュアルデザインのデザインプロセスの学びを最後まで取り組むことができてよかったです。オランダで同じ専攻の交換留学生とtextile museumに行きたかったのですが道中の電車の中で何を話せるかが不安で誘うことができませんでした。Tuesday Marketのおいしそうなチキンもいつか食べようと思っていたし、イースターの休みで友達と遊びに行く、たくさんミュージアムにも行く予定でした。そんな、いつかやろうと思っていた小さなあこがれや計画が急にできなくなる可能性があります。最初から全部全力で取り組むことは難しいですが、次フルで滞在して学ぶ人たちは、留学が少しの後悔もないものになるといいなと思います。国際課の方々、トビタテ事務局の方々、学部の先生方、インターン先のデザイナーさんありがとうございました。

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