留学の記録 オーストラリア シドニー工科大学

こんにちは。オーストラリア・シドニー工科大学に20227月から1年間交換留学している安達さくらです。

記事の目的】

読者の皆さんの留学・海外経験という方面に対しての興味を一層強めると共に、正直な内容をお伝えすることで、実現を妨げている懸念の最小化を図ります。留学に対するみなさんのハードルが少しでも下がってくれれば幸いです。
また、留学という選択を正解にするための考え方も提示できればと思っています。

【要約】

-      動機大学では「芸術工学」を学びたかったのですが、大学受験に失敗したことを背景に実現困難になりました。大学1年生の時に学校が交換留学なるものを提供していることを知り、「これなら他大学の授業を受けられるかもしれない!」と思い、動き出しました。

   〈語学力〉私は大学受験生の時、共通テストの英語長文で過呼吸になってしまうくらい英語にアレルギーがありました。そんな私でも、専門専攻留学生として留学できた具体的なアプローチをお伝えします。   

 〈資金力〉大学生なのでみんなお金ないです。奨学金を利用しましょう。工夫をすれば物価の高いシドニーでも、週末や長期休暇に旅行できる程度には生活できます。   

 〈キャリア面〉チューターの先生や教務と綿密なコミュニケーションを取ることにより、留年せずに卒業できるようになりました。就活についても、100%オンライン完結かつ時差が小さかったので問題なかったです。

-        暮らし〉全体的にいい国です。都会と自然が融合しているので週末に弾丸Day Tripとかできます。家賃や物価は高いですが、お給料も日本の3倍以上もらえるので問題ないです。日本との経度差も少ないので家族や友達とのコミュニケーションも比較的リアルタイムにできるのも嬉しいポイントです。

懸念解消】

語学力〉

留学に行きたいと思っている時点で皆さんはその言語に関して比較的自信がある方が多いのではと思います。が、私はそうではなくIELTS6.5またはTOEFLibt79以上というスコアを突破するのにかなり苦労しました。私は根っから英語が苦手で、高校時代のボトルネック科目は国語と英語でした。留学を志すようになってからアプローチした方法は以下です。

-          英語を好きになる:(留学の動機は語学ではないが,英語自体苦手だったためこのレイヤーからスタートする必要があった)私はかなりハリーポッターが好きで、春休みだけで全8シリーズ×3周ほどし、好きな俳優さんのセリフをシャドーイング・わからない単語やセンテンスは書き留めて通学の車の中で突発的に喋る(サイコパス)などして英語に対して興味をもつことから始めました。

-          試験のための英語を勉強する:日常英語と試験英語は別です。試験をゴールにしていた時はyoutubeWebサイトにその試験・その大問の解答戦略がうまくまとめてあったものを利用し、段階的に苦手を詳細化していました。IELTSの時に使っていたのは紙ベースの公式問題集、TOEFLibtの時に使ったのはこの中国の(怪しげな)サイトでした。
オーストラリアが渡航先として佐賀大学生の間で選ばれにくい理由としてUniversity of Technology Sydney(以下UTS)、 La Trobe UniversityともにIELTS、TOEFLibtのスコア提示を条件としているからです。IELTS、TOEFLibtも受験料が25,000~30,000(2023.3月時点)TOEICTOEFLitpと比べて高いですので、一回一回のプレッシャーが大きいです。加えて、WritingSpeakingが課されます。一般的にReadingListeningに特化してきた日本人にとってはこれが結構しんどいポイントでした。Writingは過去にLa Trobe Universityに渡航していた@松本音希子先輩に添削をお願いしたり(大感謝です)、Speakingに関してはシャドーイングやCamblyをサブスクしたりしていました。
今ならAIを使って「この文章をTOEFLibtの採点基準に則って採点して」とか「IELTS7.0になるようにこの文章を添削して」とかできそうで便利な世の中です。


資金力〉

特に都心エリアに留学したいと思っている人はこの問題にヒットするのではないでしょうか。そうでなくても、金銭的な余裕があった方が留学生活を有意義に過ごせますね。

-          奨学金を取る!:私は1年生の後期から奨学金の準備を始めました。早すぎると思われるかもしれませんが、奨学金の申請〜受給決定には想像しているよりも多くのエネルギーを要します。返済不要でお金をいただくわけですから、それなりの時間とリソースを注がねばならないのはもっともです。私は「公益財団法人 業務スーパージャパンドリーム財団」の提供する奨学金に応募しました。単純に受給できる金額が15万円/月と大きかったからです。私の年は書面での自己PRだったので周りと差別化できるようなクリエイティブな内容を盛り込むことで合格しました(詳細略)。この奨学金のおかげで家賃9.6万円/(学生寮はもっと高い)のシドニーでもやっていけていました。

-          慣れたら働く:物価が高いので金銭面の不安があるということでしたが、物価が高いということはお給料も高いです。個人的には、支出という文脈だとシドニーと東京はほぼ同等だと感じていて、収入という文脈だと東京の2.5倍だと感じています。蛇足ですが、オーストラリアでのアルバイトはCV提出→面接→トライアル(試し働きで使える人か見られる)→採用というフローで獲得できます。私はジョブプラットフォームで探したり、授業で会った友達が教えてくれたりしてアルバイトを獲得しました(CVを直接配る人もいますが、結構骨が折れると思います)。今は学業に専念するために辞めてしまいましたが、働いていたレストランでは約2600/時.貯めたアルバイト代+奨学金により、両親からの仕送りなしで<1>特に問題なく生活できています。(<1>両親からは初期費用50万円いただいていました。感謝です)

-          家賃を考える:渡航を決めた時、シドニーでは家賃が高騰化していました。学生寮でも$350/week.日本円で月13万円の出費は月15万円の奨学金をもらっていてもきついです。加えて、コロナが明けて留学生が増える中、UTSの寮の空きもなくなっており、渡航直前に日本から家探しをしなければなりませんでした。初期の私は、通学に時間を割きたくなかったので、学校の近くで家を探しました。結果、UTSIT Buildingから徒歩30秒、月8.5万円ほどの好条件の物件に決まり、渡航しました。しかし、最初に家を見た時は「これが今から1年間住む家なのか」と思うほど古く、汚く、写真で見たものとは全く違っていました。学校が近かったので、深夜まで学校で作業をし、家は寝るだけの環境にしていました。都市圏は特に、家探しは大変かと思いますが、オンラインでも内覧をしておくことをお勧めします。
そして、留学半年目、大家さんから急に「改装するから引っ越してほしい」と言われ、また急遽家を探さねばならなくなりました。だいぶ住み慣れていたので最後まで住むつもりでいた&前学期よりも留学生が多くなるため家が本当に見つからない&インターンや就活もしている&次の学期まで時間がないという、ストレスの多い中の家探しでした。内覧には15件以上行きましたがどこも蹴られてしまい、一時帰国を考えてしまいました。縋る思いで、前学期に仲良くしていたドイツ人の友人にこのことを相談してみると、その子のお母さんのコネでホストファミリーが見つかりました。後々、ファミリーには深刻な家族内の問題によってストレスを感じる場面もありましたが、そんなこんなでも私を受け入れてくれているホストファザーには感謝です。家は学校から電車で50分ほどの郊外です。ホストファザーが大学教授なこともあって、大学まで車を出してくれることもあります。学校付近のシティに住んでいた時よりも、落ち着いた今の環境の方が私にはあっているなと感じます。何より,ホストファミリーは現地の方なので、行事ごとや暮らしの面で様々な学びができるのも嬉しいです。友達の知り合いということもあり、月6万円ほどの家賃ですし、好きに食材使っていいよ〜とも言ってくれています。とてもありがたいです。あの時相談できる友達がいて、諦めなくて本当によかったです。

〈キャリア面〉

ー留年せずに卒業できるのか?研究室・ゼミは?

人によります。しかし、自分はなんでも計画したいタイプなので、今後のプランが見えずとても不安でした。そういう方は、私の大学生活のタイムラインをまとめたので参考にしてみてください。

大学生活のタイムライン

では、留年せずに卒業するために必要なこととは?教育学部や看護学科で卒業要件に実習が組み込まれていない限りはデフォルトで与えられた卒業年数である程度卒業できるのではないでしょうか。となると、留学先で受講する科目が佐賀大学の科目と互換されなければなりません。以下、留年せずに卒業するためにとった単位へのアプローチをまとめてみました。

単位互換への意外に長い道のり

めんどうくさいなあと思う人もいるかもですが、佐賀大学の場合約26万円/学期なので、一年留年すると約50万円の追加料金です。ちょっと頑張れば50万円以上節約できるのでトライしてみる価値あると思います。留学先で単位を取らねばならぬというプレッシャーもかかってきますので、単純に授業に集中というメリットもあります。

就活はどうなるの?

自分の志望業界がIT業界、職種はエンジニアだったこともあって、コーディング試験や面接はフルオンラインでした。交通費やスーツ代が全くかからなかっただけでなく、海外にいても2時間の時差でES提出から最終面接まで全ての工程が完了しました。この側面においては、オーストラリアを選んで本当に良かったと思います。また、幸いなことに、現地企業でのインターンにも参加することができました。こうしたadditionalな取り組みをすることも多少就活にも役立つ要素だった気がします。

オーストラリアでの暮らし

治安面に関しては、渡航してから何度か恐怖を感じる場面にも出会いました()。しかし、全体的に安心して暮らせる国だと思います。特に、オーストラリアの人はとても温和でおおらかな人が多いということ!すれ違ったらニコッとしてくれたり、公園やビーチで声をかけてくれてスモールトークが始まったり帰国したらこの風土は恋しくなるだろうなと思います。気候も寒すぎたり暑すぎたりせずとても過ごしやすかったです。

ー大学

UTSに交換留学していた方が少なく渡航前は自分も不安が募ったので、少し触れておこうと思います。
UTS
は本当に豊かな大学です。正直これが国立大学であっていいのかと思うほど綺麗で洗練されています。

建物:全ての建物の外部から内部に至るまで凝った建築がなされています。Building8は建築の賞をとったほどです。ほぼ全ての建物にはカフェがあり、「コーヒー大国だなあ」と思わされます。

大学の外観と図書館内部

 
Endless Freebies:学期の最初、1~2週間ほどオリエンテーションweekが開催されるのですが、学校が提供する食べ物で一日食には困らないくらいです。その他にも平日にはミルク、パスタ、果物や野菜など諸々の食料品がもらえるパントリーがあります。学内に冷水機やシンク、レンジ、冷蔵庫もあるので本当に一日過ごせちゃいます。(友達はシャワーもあると言っていました。すごい)

大学で提供されるFreebies

  備品天国:学内には大量のPCとディスプレイがあります。OSも多様です。勉強に疲れたら寝るスペースもあり、クッションが用意されています。昇降式デスクやワイヤレス充電機もありました。

-          最高の立地:セントラル駅から徒歩で10分。シティの中心にあり、どこへのアクセスへも困ったことはありません。

-          留学生が多い:約20%international studentで構成されているので、留学生ながらの苦悩だったりもどかしさだったりを共有できる友達に出会い易いです。先生たちも多国籍です。

ー私生活

自分は一人暮らし自体初めての経験だったので、両親の偉大さを痛感しながら生活しています。イレギュラーなことも起こりますが、以下基本的な1週間のスケジュールです。
基本的な1週間のスケジュール

Weekly Timetable

 

こっちにきてからメリハリのある生活をするようになった気がします。勉強する時はして、しっかり遊ぶという感じです。シドニーはビーチや観光地が近いので、学校帰りにビーチに行ってチルしたり、CBD(Central Bussiness District)に行ってショッピングをしたりもできます。大好きなコーヒーも、とっても美味しいです。

オーストラリアのコーヒーは本当に美味しいです

また、夏休みがざっと3ヶ月あったのでドイツ人の親友(前述と同じ)と1ヶ月少しオーストラリアのウルル周辺とイーストコーストをバックパッカーとして旅していました。息を飲むような絶景、たくさんの温かな人々、人生でこんな経験ができて本当に良かったと思える1ヶ月超でした。Thank you @Anne.

5Urulu&East Coastバックパッカー旅(左から: Great Barrier Reaf, Uluru-Kata Tjuta, Byron Bay)


 
6その他イベントごと(左から:オペラハウスでミュージカル, New Years Day, X-mas)


長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。私自身、この記事を執筆することで今までの知見を言語化させていただけました。
留学は行く前も行ってからも山あり谷ありです。楽しいことばかり写真には残りますが、たくさん落ち込みますし傷つきますし、びっくりするほど理不尽なことだらけです。何度もダメだなあと思いました。
しかし、留学に限らず、努力や困難を伴う経験は何にも変えられないものになり、何倍も成長した新しい視点からの世界を見させてくれると思います。若いうちにこうした経験をしておくことは、体力的にも時期的にもきっと良い機会です。私は留学を超えてもっともっと広い世界を見てみたい、たくさんの人の考え方を知ってみたいと思うようになりました。
この記事が、新たな土壌に足を踏み出そうとしている方の不安を明瞭化するものとなり、皆さん自身の人生を色づけるきっかけとなれれば幸いです。

コメント

  1. こんにちは。シドニー工科大学を卒業したものです。大学の写真なつかしいです。大変だと思いますが、がんばってください。応援しております。

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