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 みなさん、こんにちは。文化教育学部国際文化課程欧米文化選修所属3年 堀口祥子です。フランスはディジョンにて20139月から留学しています。フランスに来て2ヵ月しか経っていませんが、私が留学先をフランスに決めた理由、渡航までの準備、そしてこちらでの生活を通して感じることを綴っていきたいと思います。



 <フランス留学を決心した理由>
 もともと留学することを念頭において大学生活を送っていた私は確かな理由もなく2年までTOEFLを受けていました。やはり留学先を考えた時、漠然と英語圏と考えていました。しかし、英語圏に行きたいという強い思いもなくテストを受けていても結果は当然のことながらついてきませんでした。母から留学する確固たる目的と信念を持たなければ意味がないと、もっと視野を広げてみてみなさいと言われました。自分が何を学びたいか、それをどのように活かしたいか、自分なりに考えた末に英語圏にこだわる必要はないのかも、もっと選択肢の幅を広げようという結論にいたりました。

 そこで最初に考えた留学先がフランスでした。というのも、大学に入り第二言語としてフランス語を学んでおり、文化・文学の授業もまた受けていて、さらに宗教学について関心を持っていた私にとって、移民受け入れに長い歴史を持つが故に信仰心と人種が混在するフランスは非常に興味深く、さらにフランス留学を経験された先輩の話を聞いて次第に気持ちも固まっていきました。逃げているような気持ちとの葛藤もありましたが、決心がついた時にはすでにフランスについて学びたいという気持ちでいっぱいでした。また、今年の2月から新たに開講された海外実習の行先がフランスということでそれに参加できたことも意欲をかきたてる大きな一つだったように思えます。



 <準備>
 フランス渡航までの準備には、かなりてこずりました。
 学内審査を終えたら、息つく暇なくキャンパスフランスへの登録。キャンパスフランスとは、フランスへ3ヵ月以上留学する人が必ず登録しなければならないシステムです。パソコンから自分に関するあらゆることを書かなければいけないのですが、もちろん自分一人の力でできるはずもなく、先生方に教えていただきながら作業を進めました。このキャンパスフランスの登録は相当やっかいで、全部終えてしまうのにかなりの時間を要しました。

 さらにそれと並行して大学側からの大量の書類の確認としばしば送られてくるメールへの返信。まともにフランス語で文章を書いた経験がなかったので拙いフランス語で返信してはビクビクしていました。

 そして最後に在日フランス大使館へと行き、面接を受けて無事に学生ビザを発行してもらえたら諸々の手続きがひと段落つきます。ここで言う面接とは必要書類を過不足なく提出することです。しかし、そのビザをもらうためには東京まで行かなければならず、それも出発予定日までにビザをもらう必要があるので、十分な余裕をもって日にちを決めます。

 次々にやらなければならないことがあり、心が折れそうになりながらこれも試練の一つなのだと考えるようにしていました。これらの手続きをするにあたり、私にとって先生方の存在はとても大きかったです。いつも気にかけてくださり、いつでも頼っていいよと寛大な心で受け入れてくださったので、どれほど心強かったか計り知れません。



<留学地 ディジョン>
 さて、次に私が現在留学しているディジョンについて紹介したいと思います。ディジョンはフランスの中東部に位置していて、美食の街として知られています。


 ディジョンといえばマスタードがとても有名で、中でも特に有名なのがMAILLE(マイユ)です。マスタードが苦手な私でもここのマスタードは本当においしいので、そのままでも食べられます!
 あとはワインの名産地でもあります。ワインはきつくて苦手なのでまだ飲めていませんが、こちらにはワインの醸造を学ぶために留学する人も決して少なくありません。

 また、フランスはスリが多くて物騒だという印象を持っている方もいらっしゃると思いますが、ディジョンの治安は良い方だと思います。私自身、以前パリで携帯電話をスリ被害に遭ったので、フランスに着いてからというもの警戒しまくっていましたが、ここは比較的穏やかな街なので油断は禁物ですが、そんなに気を張らなくてもいいのかなと感じています。


 そして大事な交通手段、トラムです。買い物も市街地へ繰り出すのもこのトラムを使って約20分で行くことができるので便利な存在です。

 あとはディジョンの象徴(?)ふくろうも有名であちこちにふくろうモチーフのものがあります。左の写真は、地面にふくろうの絵が描かれたもので、それが指す順に回ればディジョンの中心地をうまく回ることができ、迷った時の案内人です。もう一方の写真は、教会の外壁の一角にあり、心臓に近い方の手で触ると幸運が訪れると信じられています。今やだいぶすり減って原型を留めていませんが、これも一応ふくろうです。






 <授業>
 私はブルゴーニュ大学への交換留学という形でこちらに来ていますが、一定のフランス語能力がないと学部生として授業を受けることができないので、CIEFという大学付属の語学学校に現在所属しています。

 これが実際に受けているCIEFの教室です。最初これが教室と言われた時には驚きましたが、1レベルにつき3クラスに別れており、1クラス20人弱ほどなので広さ的にはなんとか事足りています。CIEFでは1~5までにレベル分けされていて、1が初心者向けで、5に向かってレベルは上がっていき、5はネイティブ同等のレベルとなっています。

 クラスは最初のテストを受けて先生方により振るい分けられますが、「自分はもっと上のレベルで勉強したい」、逆に「自分にはレベルが高すぎる」と感じた時には後々レベルの変更が可能です。授業時間は語学学校なので、クラス毎に決まった時間割があります。
私は現在2のレベルで授業を受けていますが、参考までに。

 月・水は途中2時間のお昼休憩を挟んで午前午後合わせて4時間半フランス語の文法を、火・木・金は2時間ずつ実用的な会話や身の回りの単語についての授業、加えて火曜日にはcivilisationというフランスの文化や主に歴史を学ぶ授業がさらに2時間みっちりとあります。

 他国に留学された・されている方もおっしゃっている通り、授業中はみんな質問をしたり、発言したりすることが普通です。その時に理解できなかったことを納得するまで質問する、そして復習することが大事なことであり、何より間違っていても発言することが成長の近道。とかなんとか言いながら2ヵ月経った今でも、正直私はまだうまくコミュニケーションをとれないことへの劣等感から積極的に発言できないでいます。

 ちなみに私もクラスのレベルを自ら上げました。それほどの実力がないと分かっていても以前のクラスでは、初歩から始まり日本ですでに習得したことをしている感じだったので自分の分かる範囲で授業は進み、それに合わせるかのように私の生活は緩みまくっていました。しかし承諾してくれた家族や見送ってくれた日本の友のためにも生ぬるい雰囲気に甘んじてはダメだと自分を戒めるために思い切って行動しました。2の授業は1よりかなりレベルアップしますが、緊張感をもって授業に挑め、劣等感を感じることはあっても積極的に発言するクラスメイトの姿勢を尊敬して、かつ向上心をもつことができます。

 間違いを恐れずに自分の意志を伝える。これを乗り越えなければ成長はありません。私の大きな課題の一つです。

 またCIEFでは希望者を募って、excursion(小旅行)が度々あります。50ユーロ(7000円弱)ほどで国連本部があることでも知られるスイスのジュネーブや、アルザス地方ストラスブールなど日帰りではありますが、行くことができます。11月に催されたジュネーブのexcursionに参加しましたが、その日は偶然にも私の誕生日でした!



 スイスはマッターホルンやアルプス山脈のイメージで自然豊かという印象を持っていましたが、実際は近代的な建物が立ち並ぶ洗練された街でした。



 <Cest la France.
 フランスのサービス業に日本と同等の質を求めてはいけないとあらゆる場面で実感しています。
 勤勉な日本人だからこのように思うのかもしれませんが、とにかく早く仕事を切り上げたがったり、勤務中とは思えないような立居振る舞いを見かけることも度々です。勤務時間の終了30分前に訪ねたとしても「もう終わるから」と言われたり、客がレジまたは受付にかなり並んでいたとしても自分の終了時刻だけはきっちり守って帰るし、急ぐ素振りすら見せません。時には奥から数人の声は確かに聞こえるのに、接客しているのは1人だけということもあり、かなり待たされたこともありました。
  
 私もアルバイト経験はありますが、とにかくお客様を大事に、待たせないように心がけることを基本として何度も教えられたので、フランスに来て日本のサービスの質の良さを実感させられます。また面倒なことはみんなしたくないからと言って、たらい回しにされることもしばしば。実際私も学校の手続きで私がろくに話せないのを分かって一方的に言うだけ言って終わり、あとは頑張ってといった感じでした。その時は学校の手続きだから「もう知らない!」と投げ出すわけにもいかず、途方に暮れました…。

Cest la France.「それがフランス。」フランスだから仕方ないという一言に尽きます。

 こちらに来た最初の頃は諸々の手続きをすることが多く、銀行口座の開設や書留郵便の送り方など、日本において自分だけでしたことのない手続きを一人でしなければならず、受付に行った時に開口一番いつもJe ne parle pas bien le français.「私はフランス語がうまく話せません。」と言って英語でゆっくり言ってもらうようにお願いしていました。また、その旨を伝えてもフランス語で話してくる人ももちろんいて、しかもけっこう早口で話されるのでなお分かりにくく「分かりません」と言うと、首を横に振って「ダメだこりゃ」と今にも吹き出しがつく勢いで露骨に嫌な態度をとられます。地味に傷つきます。何度も経験したのでもう慣れましたが(笑)

 しかし、一概にそういう人ばかりとは言えません。こういう対応ばかりされていると、たとえ少しの気遣いをみせてくれる人にも心が温かくなり、嬉しくなります。「ありがとう」「質問があったら私のところに来ていいよ」とそっと一言添えてくれるだけで、です。幼い頃から耳にたこができるほど教えられてきた当たり前のことは、日常生活から離れて異なる環境に飛び込んだ時に痛いほど分かるものです。



 <最後に>
 こちらに来て2ヵ月。今回このブログを書くにあたって、まだ一日一日を乗り切ることで精一杯な私が、留学に関心を持ってもらえるようなフランスでの生活を書くことなんかできないと、そう思っていました。しかし、何事も改めて振り返ってみると良い思い出ばかりが強く残り、どんな思い出も美化されてしまうもの。それならば慣れない異国での生活に馴染むために奮闘する努力や、不安、悩みなどの心の内を綴った方が帰国後、当時の自分はどのようなことに思い悩み、涙したか、そして現在の自分はどのように物事を捉えられるようになったか、成長の過程を知ることができるのではないかと思いました。まだまだ不安ばかりです。残りの8ヵ月、いかに充実した生活が送れるかは自分の行動次第。日々の努力を忘れず、ためらわず思い切って行動して積極性を身につけていきたいと思います。

 ちなみにタイトルはフランスの諺で、「明日は明日の風が吹く」という意味に当てはまります。毎日自分のできなさに反省し落ち込む私ですが、この言葉は気持ちを切り替えて次こそは頑張ろうという思いにさせてくれる、素敵な表現です。









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