台湾留学記

留学のきっかけ

 もともと国際文化課程に所属していて、留学ということをどこかで気にはしていたものの、実際に踏み切ることが出来ていませんでした。しかし、ニュースを見ていると日に日に中国経済の重要性が高まっていく様子が報道され、また同時に、その中国と日本の交流において台湾が重要な役割を果たしているということも目にしました。同時に領土問題をはじめとした反日の運動があることも大きく報道されていました。経済と文化と戦争と平和と。さまざまな問題が複雑に絡み合う「国際」をより深く理解し、またその中で日本がどのような立場を取ることができるのかを学びたい。またそうした国際関係に対する世界の学生の声が知りたい。そうした思いが高まって留学を決意しました。


立ちはだかる言語の壁

 

—英語編—

 留学前はTOEICスコア700点の提出が求められ(英語正規授業も取る場合)、自分の中ではかなり勉強したつもりで台湾に行きました。しかし実際は、留学前に山田先生がおっしゃっていた『語学は勉強しても勉強しすぎることはない』というのは本当だと痛感させられました。
 
 日本の語学学習向けの教材で使用されるCDはかなり簡単な部類に入ると思います。考えてみればすぐに分かることなのですが、やはり言語学習と生の言語(英語の授業)は雲泥の差がありました。スピードも語彙も圧倒的に実際に聞いてみる方が早く、授業が始まった当初はとてもじゃないがついていけないと思っていました。
 
 また特に欧米系の学生は授業中活発に意見を出します。実はこれを聞き取れるようになるのが一番苦労しました。地域による発音の違い、その人の話す癖など英語力の乏しい人にとってはこれが一番の関門ではないかと思います。
 
 留学前にやっておけばよかったなと思うことの一つとして、今やネットで海外の授業やプレゼンを無料で見ることが出来るので、少しでも耳を慣らしておけばよかったと思います。
 
 
 一学期のタームで多いコマは4回近くプレゼンが入ります。他にも毎回の小テストに加えて、中間期末考査、レポート提出といった授業もありました。とにかくどの授業も課題をこなすのに必死でほとんど眠れない週も何度かありました。
 
 授業は2時間から3時間がひとつのコマになっており、この時間集中力を持続させることも英語力と併せて大切なことでした。先生がたは比較的ゆっくり授業を進められる方が多いのですが、やはりそこは授業。気を抜くと、すっかり分からなくなってしまったこともあります。



中国語編

 大学の授業は週に2回3時間ずつ、3ヶ月ほどありました。授業では単語、文法、会話、作文などを扱い、割合は先生によって様々のようです。私はクラスメートにも先生にも恵まれ、授業中は楽しい時間を過ごすことが出来ました。

 
 しかし、これだけの授業では中国語を伸ばすのは難しく、言えてもせいぜいあいさつとほんの少しの会話でした。そこで私の場合は、余暇の時間を台湾のテレビドラマを見ることにあててリスニングを鍛えたり、また言語交換で別のテキストを平行して学習したりしていました。

 最初の頃は、レストランでの注文もろくに出来ず何度も悔しい思いや不安な思いをしましたが、日常生活で必要な会話は一ヶ月ほどで聞き取れるようになりました。
 
  

政治大学のススメ

 

 たくさんおすすめスポットはあるのですが、政治大学はとにかく夜景が綺麗です。本当は台湾人のかっこいい彼氏を探して、一緒に大学の中を散歩したいくらいロマンチックなのですが、残念ながら今までの滞在で見つけることができませんでした。悲しいです。ぜひ留学する人はその目で確かめてみてください。
 
↓夜間にはライトアップされる
 
 また図書館の自習室は24時間解放です。ロビーでは様々な国の言語が聞こえることも多く、さすが文系大学だなと言わずにはいられません。台湾の学生はとにかく勉強熱心で、常に図書館はにぎわっています。テスト前ともなると、図書館の中の熱気は脱帽ものです。
↓図書館ロビー

また学生寮については、留学生は2つの選択肢が用意されています。一つはホテル並の設備が整った、山の下にある国際宿舎です。こちらはほとんどが留学生で占められており、立地・衛生面ともに最高の環境です。
 
 そしてわたしが住んでいる学生寮は、台湾の現地学生も同じように住んでいます。きれいとは言い難いですが、心配していた虫はおらずバックパッカー向けの宿をイメージしてもらうとかなり近いと思います。部屋は4人一部屋で、留学生は主に留学生同士で住むことが多いみたいです。
 
 周囲はスーパーから薬局、簡易的な病院(大学付属の診療所のようなもの)までそろい、普段の生活で不自由することはほとんどありません。仮に大学の近くで揃わなくても、バス一本でカルフールという大型ショッピングモールに行くことができます。
 
 日本製のものは少々値が張りますが、多くの場所で見つけることができます。また台北には多くの日系デパートも出店しているので、メジャーな商品はこちらでも手に入れることができます。

 

台湾のイベント

 台湾をはじめ中華圏では旧正月といって、1月下旬から2月上旬までにある正月を重視します。大学がお休みになるのは1月1日だけ、という日本人学生にはほんのちょっぴり寂しいお正月です。しかし、台北101では毎年カウントダウンのイベントも行っています。年越し前には、政府主催のカウントダウンライブも開かれ、ちょっとしたお祭りが楽しめます。
 
また年明けの1月1日早朝は旗揚げと言われる国旗掲揚の儀式も見ることができます。新年に旗を揚げ、敬礼と国家の斉唱があります。


半年の振り返りと残り半年の抱負

 
 この半年間は自分の中でも、悔しさや孤独、辛さと戦った半年でした。うまくいっているか、かっこいい留学生活かと聞かれると答えはnoになるでしょう。最初思い描いた国際や、世界で通用するといったことは予想以上にハードルが高かったように感じます。自分がどうしてここまでできないんだろうと思い詰めたこともありました。
 しかし、こうした負の感情と同じくらいに、いい思いもたくさんしました。少しでも意思疎通がうまくいったときや、プレゼンがほめられたときは飛び上がって喜びたいほど嬉しかったです。加えて、生まれて初めての外国人とのデートは心臓が口から出るくらいにドキドキしたが、それもそれで楽しかったです。半年前の自分は、今もうここには居ません。毎日ちょっとずつ、確かに成長しているし、それが嬉しいです。
 だけど、まだまだだと思います。言葉も考え方も人としてのあり方も。残り半年はより一層どん欲にいきたいです。せっかく少しは英語が話せるようになったのだから、もっともっとたくさんの人の考えを聞きたいし、話したいです。最近、最初の必死さを忘れかけていた気がするというのも一因です。毎日どん欲さを忘れずにいたいです。そうしていればきっと、後悔しない留学生活を送れる気がしています。
 今から、留学する人へ。お金は、大事です。でも、言葉はもっと大事。言葉で力になれることはあるけれど、お金で心の距離が近づくことはありません。どうか素敵な言葉と、それからちょっとだけ悪い言葉を勉強して来てください。きっと役に立つと思います。






 
 

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