Ça sera fait, si je le fait !



こんにちは。国際文化課程欧米文化選修4年の野中結です。私はフランスのオルレアン大学(Universite d’orlèans)に昨年9月から留学しており、6月までこちらに滞在予定です。

☆留学準備
フランス留学へのまず第一歩としてここに来るまでにとても手間がかかります。学内選考が終わった時点で国際課の方から早めに準備を進めるようにとアドバイスをもらっていたため心構えはしていましたが、予想以上に手間取るものです。オルレアン大学から提示されていた学力レベルとしてDELFA1(仏検3級レベル)以上というのがあったのですが私は仏検を持っていたもののDELFの資格を持っていなかったためにその資格をとることから始めました。年に2回限られた開催地のみで行われているので留学を考えた時点で早めにDELFを受けることをおすすめします。
それから何と言ってもキャンパスフランスというサイトでの手続きに手間取ります。これはビザ取得のために必要なのですが記入項目も多くフランス語もしくは英語での記入となります。私の場合手続きの際にトラブルがあったので向こうの担当の方にメールを出したのですが結局返ってこないということがありました。これも普通のこととして起こりえるようなので、とにかく早めに進めなければなりません。その後アポイントをとり東京の大使館へ書類の提出に行くのですが、窓口の方の対応も冷たく書類の不備を注意されるという最初から前途多難のスタートとなりました。ビザの発行には時間がかかるのでここまでは出国1カ月前までに終わらせておくことをお勧めします。
出発前までに私がやっていたこととしてはオルレアン大学から佐賀大学に留学生としてきていたフランス人の友達に週一回授業をしてもらったり、他学部のネイティブの先生の授業に参加したりしていました。

☆オルレアン大学について
オルレアンはフランスの中心部に位置し、パリから電車で1時間ほどのところにあります。オルレアン大学の周りは落ち着いていますが、生活に困るということは決してありません。大学の周りは自然に囲まれており、野生のリスやウサギが走り回っています。

クリスマス時期に街の中心に突如観覧車が設置され、そこから撮ったオルレアンです。奥に写っているのは街で一番有名な大聖堂(カテドラル)。
 


大学内に湖もあります。

大学には英語・日本語学科があり日本語を専攻している学生が多くいます。ここに来た際の事務的な手続き(口座を作ったり、ビザの申請、住宅保険の手続き)はとても一人でこなせるようなものではありません。そんな時は何度も協力してもらいました。学内選考の際に選考員の方にそれはフランス語を学ぶことにおいて不利にならないのかという質問を受けましたが、今考えてもそんなことは決してありません。お互いに分からないことを尋ねたり、一緒にパーティーをしてフランス語で会話をする機会を設けたりすることができます。これはオルレアン大学の大きなメリットであると思っています。
 





☆授業について
授業が始まる前にクラス分けのテストが行われます。内容はグラマー、リーディング、ライティング、面接でした。このテストによりDPF、DEF、DAF、DSFの4段階、7クラスに分けられます。一番上のクラス(DSF)のみ1クラスとなっており以下は2クラスずつとなっています。1クラスは15人ほどで国籍、年齢も様々です。ちなみに私のクラスは韓国、ベトナム、インド、イラン、トルコ、スペイン、ロシア、アメリカ、ベネズエラ、ガーナ、パキスタンといった国籍の学生が在籍しています。日本人は私を含め3人です。授業は9月~12月の秋学期、1月~4月の春学期からなっておりその間に3回ほどバカンスを挟みます。現在授業は終了し、DELFの資格の為に開かれるクラスに出席しています。授業の内容はクラスごとに決められており、内容は以下の写真の通りです。ちなみにこれは秋学期のもので、春学期はさらにオプションの授業が加わります。



第二外国語として日本で学んでいたものの、喋ることに関してはほとんどゼロに近かったため授業が始まった最初の週は本当に辛かったのを覚えています。グラマーの授業は日本で学んだ知識があるので何とか何についての説明がされているのかは理解できましたが、オーラルの授業に関しては授業テーマが分からなかったり、一体何を聞かれているのか、周りが何を話しているのかさえ理解できず、1年間授業を受け切る自信を無くしました。部屋に戻り分からなかった単語をさらい、フランス語音声の映画で耳を慣らしたりと必死でした。私は大好きなジブリの映画をフランス語で見ていますが、これであれば内容も知っているため苦痛にならず見ることができます。出された宿題や授業をこなしていればだんだんと理解できるようになってきます。今日はこれが分かった!この前勉強したこの単語を使ってこういうことを言えた!そういう日々の積み重ねがモチベーションを高めてくれました。先生方はみな優しくとても丁寧です。分からないところは分かるまで何度もはっきりゆっくり説明してくれます。日本で学習していた文法であやふやだったところが鮮明になったり、フランス語でフランスの文化を学べることとはとても貴重な経験です。何より様々な国の人とディスカッションし、その国のことやその人の考えを吸収できることが私にとっては何よりの喜びであり、自分の考えを豊かにしてくれます。


課外授業の際にクラスのみんなと先生とで撮った写真です。


☆普段の生活について

私は大学内にある寮に住んでいます。寮によって設備はことなりますが、私の寮はトイレシャワーが各部屋備え付け、共同キッチン、電気水道込で月4万弱です。ちょっと狭いと感じることもありますが、一人部屋で何より教室まで5分で行けるためとても便利です。留学生も一般の学生も住んでいるため共同キッチンは他の学生との交流の場ともなります。
ホームステイしている友人はトラム(路面電車)やバスを利用して通学しています。町中をトラムが走っているため、買い物にいくのにも移動は楽にできるようになっています。スーパーに行けば何でも揃うのですが日曜はどこのお店も大概休みです。
現在円安の煽りもあり生活費は日本での生活よりも少し高くなっています。野菜は安く、乳製品はおいしいのですが、日用品はとても高くつきます。タオルも400円以上はしますし、文具などは高い割に質が落ちます。化粧品、文房具、必要な日用品は日本から持ち込んだ方がいいと思います。
食についてですが、やはり日本食は恋しいです。初めはパンやパスタの生活をしていましたが飽きます。お米やしょうゆは比較的手に入りますしアジアンショップへ行けば高いですがほとんど手に入ります。私が持ってきてよかったと思うものの1つがちょっとしたインスタント食品やだしの素です。これらを駆使して自炊をしながら生活しています。それでも時々あれがあればなあと日本を恋しく思ったりしています。

☆留学を通して感じたこと
ここに来る以前にアメリカへ留学されていた先輩の話を聞いた際に「自分の弱さがみえる」と言われていましたが。まさしくその通りだとしみじみと感じています。私の場合ここに来て自信をつけるどころか劣等感を感じるようになりました。周りにできることが私にはできない。日本ではいいと思われることがここでは全然違う。そんなことは毎日です。郷に入っては郷に従えと何度も言い聞かせてきましたが、それでは乗り越えられないこともあります。一年間で自分がやれることの少なさにがっかりすることもあります。しかし私が留学したいと思った理由の1つに慣れた世界を抜け出して、知らない土地で自分を試したいというのがありました。それは十分に達成されたと思います。きっと日本にいては感じなかった自分の弱さ、もちろん強さも知りうることができました。生活の中で日本の良さも感じます。もちろんフランス語や文化を学ぶ機会としてこの留学は大きな意味がありますが、自分と向き合う機会が増えたことで感じたり、得たりしたものも大きいと思っています。自信を持って帰れるかと言われると決してそうではないですが、いい経験ができたかと尋ねられればはっきりそうだということができます。私が留学で感じたことのすべてをとてもここには書きつくせません。留学で得るもの感じるものは人それぞれ違うと思いますがそれが貴重な体験であることには変わりありません。
最後に、この記事が留学を考えている人の後押しとなりお役にたてれば何よりです。




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