途上国留学の意義



スリランカ留学
私がスリランカに留学を決めたのは、もともと開発に興味があり途上国で住民目線の生活をしてみたいと思っていたこと、また内戦が終わり経済的にも急激に成長しているスリランカの表面的な面とそこから見えない現実を学生という立場から知りたかったからです。私は「途上国の大学に留学することの意味」についてお話ししたいと思います。



キャンパス内の有名な広場


留学準備
私が留学を決めたのは出国4ヶ月前でした。語学については勉強しなければとわかっていてもなかなか本腰を入れて勉強することができませんでした。留学生の多いシェアハウスに住んで英語を使う環境に自分をおきましたが、皆日本語を話せたということと、普段使うことのない英語を話すことに対する恥ずかしさから英語力をのばすことは出来ませんでした。私は留学開始から3ヶ月経ってもコミュニケーションが取れず苦労しています。語学は留学先に行けばいやでも使わざるを得ないのである程度はのびますが日本で出来るだけのことをしておくと留学後の語学力の伸びは早いだろうなと実感しています。スリランカでは授業は基本的に英語で行われますが、生活は現地語であるシンハラ語で行われています。授業外で英語に触れる機会はほとんどありません。


授業
ペラデニヤ大学はスリランカ国内に15校ある大学のうちのNo.2の大学になります。私は現在そこでスリランカの地域開発について学んでいます。スリランカは現在経済発展が急速に進んでいる国ですが、その一方で発展から取り残された人々も存在しています。例えば有名な紅茶をはじめとするプランテーションですが、そこで暮らす人々の生活はまだ保障されているとは言えません。そういった問題に対して政府がどのような政策を施したのかなどをグループでまとめ、レポート作成やプレゼンテーションを行っています。しかし、基本的にはスリランカの教育は「詰め込み型」で一方通行で行われます。トップ大学で優秀な学生が国中から集まるとはいえ、スリランカはまだ途上国です。教育の質は高いとは言えません。もし学生同士での活発な議論や予習復習が必須の一般的な留学を望んでいる場合、スリランカ留学は向きません。



授業が始まる前


生活
大学内にある学生寮で生活しています。他の学生とルームシェアをしています。寮には学食もありだいたいはそこで食事は済ませます。タウンからもバスで30分ほどと近いため、友達と出かけることも多いです。私の寮は1年生の寮で、ほとんどの学部の学生たちが住んでいます。衛生観念が日本とは違うので長期で生活するにはそれなりの覚悟が必要だと実感しています。寮ならではの悩みもありますが、イベントなども多いので積極的に参加すればいろいろな学部の学生と知り合うことができます。


寮のご近所さんと


学外活動
大学の授業もですが私は学外での活動を充実させています。私はもともと教育問題に興味があったのでスリランカに来る前からあるNGOのプロジェクトの立ち上げをすることを決めていました。その活動を通じて、在スリ日本人の方や現地NGO、政府関連のスリランカ人の方々とお会いすることが出来ました。そして何よりその活動に共感する学生たちと真剣に議論し一つのプロジェクトを作り上げるということは貴重な経験となっています。

 

プロジェクトメンバーと



途上国留学の意義
アジア、特に「途上国」への留学を考えている方もいらっしゃるかと思います。もし「途上国」の大学を留学先に選ぶのであれば、その留学で「何を成し遂げたいのか」ということを強くイメージしてから選択することが、留学先でも帰国後も、自分が納得出来る留学にすることが出来るのではないかと思います。前述しましたが、実感としてやはりスリランカではいくらその国で優秀な人材が集まっているとはいえ、高等教育そのものは充実しているとは言えません。研究などのように、「その国でしかできないこと」のために留学することが貴重な時間を使うことの意味なのかと思います。
途上国に行けば少なからず問題意識を持つことになると思いますが、目の前の事実を「これがこの国のやり方」と受け止めるだけでなく、本質的な部分も見つめて現地目線、日本人目線でその国と関わっていければ充実した生活をおくることが出来るのではないでしょうか。

 

プロジェクト実施(候補)校の小学生

経済学部4年 大水希望

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