北京留学雑感



こんにちは、北京工業大学に交換留学中の文化教育学部国際文化課程日本アジア文化選修4年生の高岡遼です。留学生活は早くも3か月が過ぎ、3週間後には夏休みが始まります。前期(中国では後期ですが)の振り返りもかねて、簡単に留学生活の紹介をしたいと思います。

【留学準備のこと】
僕が留学を考えたのは、2年生の3月頃でした。もともと国語科の教員志望でしたが、その前に大学院進学もぼんやりと考えており、中国学関連で進学するのであれば、中国語ができるに越したことはないと思い、また、ほかにも諸々理由もあり、留学を決断しました。(話せば長い)とは言ってもそれまで留学をあまり考えていませんでしたので、語学条件等は満たしていませんでした。ただ私の場合は国際文化課程で3年間中国語を学んでいたので語彙や文法や発音の基礎はあった方だと思うので(たぶん)、語学に関する不安はあまりありませんでした。学内選考で推薦が決まったのは7月、北京工業大学から受け入れ許可書が届いたのは1月半ばだったと思います。そこからビザの申請をしたり、一人暮らしだったので引っ越しをしたりと大変でした。中国は日本とは違い2月末から3月頭に新学期が始まりますので、日本の大学のテストが終わってから出国まで5日程度しか時間がなかったです。一人暮らしの人は早め早めに準備を行うに越したことはないと思います。あと、教員志望の方は教育実習や介護等体験等もありますので、お早めに。

【街のこと】
街にでてみるとの「富強・民主・文明・平等・・・」と共産主義スローガンが至る所に掲示されており、「あぁ、中国にきたんだなあ」と感じさせられます。スーパーなどに行くと服務員は背中に『为人民服务(人民のために働きます)』とプリントされたシャツや制服を着用していますが、肝心の服務員たちはスマートフォン片手に同僚とのおしゃべりに夢中です。店に入ってもメニューを持ってきてくれないこともしばしば。呼んでも来ないときはこちらから注文に行くという具合です。日本人は顔が中国人とそれほど変わらないのでつたない中国語で話してみても地方から来た中国人と思われ「は?普通話も話せないの?」みたいな顔をされたりと、最初は背中の『为人民服务』のスローガンが泣くぞと思いましたが、慣れてくると意外と可愛いもので、どこか素の中国人を見ているようでほほえましく思えたりもするようになりました。また、よく行く店などではやさしくしてもらったりするのでこれがいわゆる「コネの文化」かと思い、中国を感じる次第です。
 
どこかの公衆トイレでの一枚。意味はそのまま。現在北京はトイレ改革に取り組み中!

【飲み物と食べ物のこと】
海の向こうアメリカではスターバックスのドリンクの氷が多く、飲み物が少ないと訴訟が起きているらしいですが、中国では基本的に飲み物に氷はありません。要求しない限りビールもお茶も水も基本常温で出てきます。学校には給水器はなくて、給湯器。あまり冷たいものを飲む文化のない中国には「緑豆沙氷」なるものが存在します。シャーベット状の飲み物で味は簡単に言うと「飲むあずきバー」です。これが一個3元でなかなかイケます。特にこちらの料理は脂っこくて、辛いものが多いので、冷たくて少し甘いものが自然と飲みたくなります。コーラやスプライトも同じく3元程度と安いのですが、そちらを飲むとちょっとやばそうですね、絶対太ると思います・・・食べ物についてですが、北方では羊肉、いわゆるラム肉を好んで食べるようです。涮羊肉(羊肉のしゃぶしゃぶ)や羊蝎子(羊の背骨を煮込んだもの)など羊料理は多いです。また、日本の葱のような感じで香菜(いわゆるパクチー・コリアンダー)をスープや麺料理にいれるので苦手な人は注文の際に「不要香菜」と言えば抜いてもらえますが、 時たま入っています。。。その時は入乡随俗、郷に入れば郷に従えの精神で避けながらですがなんとか食べてます。いわゆるパクチストには天国かもしれません。
※スタバの氷の量は日本と変わりませんでした、値段はこちらの方が少し高いです。哎呀

最近は1元が17円弱だからスイカ500g20円ちょっと。味も日本と変わらず甘かった~量り売りなのが日本と違う!
 【中国語学習のこと】
北京工業大学の中国語コースは4クラス、初級1・2、中級1・2です。学年によって5クラスになったりすることもあるようですが、基本4クラスのようです。国籍編成はアイルランド人が一番多く、次にフランス人、韓国人といった感じです。クラスの人数はこれも学年によって違うようですが、僕のクラスは全員で25人程度いて多いかなと感じます。(ただ、全員毎日来るわけではないので結果的に15人前後に落ち着きます・・)僕が所属する中級1のレベル3のクラスは基本文法や発音はしっかりできることが必要なレベルです。中国語検定のレベルだと3級合格レベルの知識は必要かと思います。中国語の単語や表現を中国語で説明され、時によっては中国語で説明しなければなりません。簡単な文章はぱっと作れる必要があると思います。といろいろ言っても仕方ないので、興味がある人は中国留学経験者に聞いてみたり、SUSAPに参加してみたりするのが大切だと思います。
授業外での学習は宿題と中国人と会話練習をする感じです。会話練習というと多少大袈裟ですが、簡単に言うと会ってお茶してお話しするって感じです。中国語は発音が難しいですが中国人も正しく発音できないことが多々あるので、発音の意識はしつつも、とりあえずしゃべってみることを心がけています。(この前出会った上海のおじさんは詩・shiの発音がsiになってました・・・)

洛陽・白馬寺にて上海から来たおじさんと・・・優しかった~

【中国人や中国のこと】
中国人や中国のことと書きましたが、そんな中国人や中国という大きなくくりでまとめて話せるほど単純なものではありません。中国には56の民族がいるとされ、大きく分けて7つの方言があるとされます。人口は日本の11倍、面積は25倍とされる中国ですから、様々な人がいます。そこには当然いい人もいれば怖い人もいるし、日本が好きな人もいれば嫌いな人もいます。日本から見える中国はほんの一部で、この国のすべてを捉えることはできていません。「中国は・・・」、「中国人は・・・」というくくりで中国や中国人を語ることは無意識のうちに壁を作ることにつながっているなと感じます。相手の実際の姿を見逃すことになる原因の一つになっているかもしれません。もしかするとエスノセントリズム的な思考に陥ることもあると思います。中国人学生に次のように言われました。
「過去の戦争や政治の事は俺たちが気にすることではないし、どうしようもできない。自分たちができることは自分の目で実際に見て考えることだと思う。」
僕は日本も中国も大好きです。日本が中国のようになる必要もないですし、中国が日本のようになる必要もないと思います。ただ、アジア間の相互依存関係が強まる中でお互いの違いを知り、よりよい隣人になる努力は必要です。少しでも中国をはじめとする海外に興味があるなら一度訪れることをお勧めします。では再见

観光地では同じ帽子をかぶった観光客とよく遭遇します。なんか中国っぽい。
いわゆる名刹はどこも観光地化されて趣に欠け気味・・・洛陽にある香山寺にて
追記:授業内容や留学生活について質問あればryo.0101@outlook.comまで連絡ください~

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