台湾留学 2カ月経ってみて



 はじめまして、台湾の国立政治大学に半年間交換留学をさせていただいている、文化教育学部国際文化課程欧米文化選修4年の田村駿太です。
9月の頭に台湾に入国しましたが早いもので2カ月経ちました。今回はこちらでの生活の事や留学準備など紹介させていただきます。これから留学を考えている方の参考になれば幸いです。

【留学準備】
私が留学をしようと決めたのは3年生11月の頃で、それまで留学してみたいと強く思ったことなどなかったのであり得ないほど遅くて突拍子もない決断だったと思います。11月に入り就職活動を始めようとしていたわけですが、現実的な職業で何か特別したいことがあるわけでもなければ、特筆できるような資格も持っておらず、「このままだとヤバい、なにか変えなくては」みたいな感じで切羽詰まっていました。そこで1年卒業が延ばせて今までにない経験ができる「留学」という選択肢を選びました。ただそれまで留学に必要な言語試験を受けたことがなかった上に、交換留学の応募期限まで1カ月もなかったため、準備期間1週間あるかないかくらいでTOEFLを受けることになり、とにかく慌ただしいスタートでした。
年が明けて2月からは1カ月間、SUSAPという短期留学プログラムで台湾に行くことができ、これは大きく私の背中を押してくれました。事前にその国で生活する体験ができたため、留学準備もしやすくなりましたし、留学に対する不安も多少和らぎました。
3月末にSUSAPから帰国した後、半年間休学してアルバイトで留学費用を貯めました。もともと予定にない留学でしたし、留年する分の学費も必要、貯金ができない性格だったのでほとんど0からのスタートでしたが、運よく手厚い奨学金をいただくことができ、留学終了までは少なくとも金銭面の不安が解消されましたが、根本的にお金がないと留学まで漕ぎつけても帰国後はまた学費の支払いに追われることになるので、それまではまあそこそこ不安な日々の連続でした。5月ごろに交換留学が正式決定し、7月ごろからは事前研修やビザの申請、諸々の準備をしていたらあっという間に9月、はい出発みたいな流れで、振り返れば11月からはほとんど全てが一瞬のことでした。

 【留学中の生活】
4人部屋の寮に住んでおり、ルームメイトは日本人2人にオランダ人1人です。1学期約30000円で住むことができ、部屋は思っていたよりは綺麗でした。私の部屋は基本的に全員がおとなしくだいたい全員夜11時半には寝るので、性格や生活リズムがあっているからか何一つ問題もなく平和な毎日です。寮の管理人も親切で、カナダやマレーシア、ハイチなど世界各地から来た面白いヤツらとも友人になれました。
食事の面ですが、台湾は外食文化の国で13食、ほとんどの人が外食です。だいたい1300円弱でお腹いっぱい食べられるので、毎日のご飯は楽しみの1つです。またお酒も安く台湾ビールは100円弱で買えてしまうので、その誘惑は凄まじく、尿酸値が高い私にとっては悩みの種です。
 
 
日本のドラマで紹介されていた、ザ・台湾メシみたいなご飯 約240


こちらに到着してから1週間ほどで授業が始まりました。ただ授業選択についてはほとんど思い通りいきませんでした。最も受講してみたかった台湾文化や社会についての授業は自分が在籍する秋期には開講されておらず、その授業の秋期バージョンのような授業は、台湾ではなく中国本土の文化遺産やアートについての授業で、1度行ってみて興味がなかったので履修しませんでした。せっかく台湾に来ているので中国語も少しは勉強してみようと思い、留学生向けのパートタイムの授業も登録していましたが、授業料が別途必要と言うことを聞きそれがあまりに高かったので、取り消してしまいました。当時は中国語へのウェイト配分をかなり軽く見積もっていたのでお金を払ってまで取ろうとは思わずすぐに取り消したのですが、ただ出身の大学によって協定の内容が違うらしくこれは事前にしかり確認すべきだったことで多少の後悔はあります。その他も少し研究テーマに重なりそうな授業を探しましたが、心理学の専門知識を学んだことがないため履修できなかったり、代わりに取ろうとした興味のあるジャーナリズムについての授業は院生対象のものだけしかなかったり、ことごとく選んでみた授業を履修できず出発前の計画と大きく異なってしまいました。
現在は英語のオーラル・リスニングトレーニングの授業と、台湾人学生と日本人学生でディスカッションをする「多言語同時学習」という授業と2コマを登録して履修しています。登録ができなかった科目については、いくつかはシラバスを確認して気になった回を聴講しに行ったりしました。ただ台湾の大学は1コマ23時間あり、日本のような聴くことがメインではなく、ディスカッションを毎回行う形式の授業ばかりで、特に英語の方の授業は毎回の復習をこなしたうえでディスカッションのテーマについてしっかり準備をしてやっと何とか対等に参加できるようになるので、日本とは違い授業以外の時間も割と多く使わないといけません。また多言語の授業は中国語が全くできない状態から無理を言って履修させていただいたのですが、2週間に1回はレポートを中国語で書き、中国語でプレゼンテーションをしないといけないため、中国語初心者の私には準備に結構時間がかかり大変です。ただこれが中国語の勉強のモチベーションになりますし、台湾と日本の違いが各トピックで結構出るので、興味深い授業です。
私は同性婚についての研究をしていますが、台湾は日本と違い同性婚の法制化に政府がもう踏み切っており、理解が進んだ国です。このテーマについても、アジア最大規模の台北ゲイパレードをはじめとして、各地のパレードに参加して、現地の雰囲気を直に体験できました。政治大学には歴史あるLGBTサポートのサークルがあるため、このトピックについて知りたいことや統計などもそのサークルの友人が知っているものがあれば教えてくれるので、とても有難いです。

花蓮でのゲイパレード デモ色が強く、主催は学生団体でした
ずっと行ってみたかった台北プライドパレードで サークルの友達と
 
台北ゲイパレードのアフターパーティで一緒に踊り狂った台湾人 
さっき会っただけなのにとにかくみんなフレンドリー

それ以外の時間は言語交換や自習をして英語と中国語を勉強したり、研究テーマのことでサークルの友人や、こちらに在住していらっしゃる日本人の方や、パレードで知り合った団体の方とメールやお話したり、軽音サークルに入ったのでたまに練習室に行ってギターを弾いたり、食べ歩きをしたり、本を読んだり、ネットを見たり... 今では生活のリズムもしっかりできてきて、やりたいこと、学びたいことで毎日充実しています。
 
SUSAPで出会った花蓮の友達と再会 そして一緒に留学中の杉山さん

花蓮で食べたカタツムリ 意外とおいしい


【最後に】
毎日が新鮮で多くのことを学び考えることができますが、実はこの記事を書いているちょうど1週間前には日本の友達に会いたくて仕方なくなり何をしても全く楽しくない、割と酷いホームシックを起こしました。台湾に来てからほとんど毎日日本を恋しく感じています。
ただそれでもこの留学を未だに本気で後悔したことはないです。留学を決意してからちょうど1年程ですが、ライフスタイルや考え方が自分でもわかるほど大きく変わりました。英語を本格的に会話で使う環境も手に入り、自分が欲しい英語力に向かって近づいているのが実感できています。将来に対する目標やプランのようなものも、少しずつですが明確にもなってきました。
同時に今感じるのは、この留学後にゴールがあるわけではなく、これもあくまできっかけ作りにしか過ぎないと言うことです。私にとっては、帰国しても英語の勉強は恐らくずっと続けていくことなので、そう思うようになりました。また、中国語が学びたくて台湾に来ている友人が多くいますが、彼らは日常生活から自分が好きな言語や文化に触れあえているわけで、その姿を見て、小さいころから音楽や映画を通して英語文化へ憧れていた私でしたから、今回の留学では金銭的に余裕がなくあきらめましたが、英語圏の国への憧れはより一層強くなりました。
私は最初こそ不純な動機で留学に踏み切ることになりましたが、幸運な出会いが多かったおかげで、この1年有意義な生活を送れています。これから留学を考えている方は、私のようにバタバタしてギリギリの状態から流れの中で考えるのはやはりお勧めできません。お勧めはできませんが、ギリギリでも行きたいと意志が固まったのなら行ってみるべきだと思います。留学応募まで何一つ準備していなかった私でも普通に生活できているから大丈夫です、きっと。もう留学生活も残り2カ月程ですが、気楽なスタンスは大事に吸収できることは吸収して、生きて帰って来れたらと思っています。それでは機会がありましたらまた佐賀大学でぜひお話ししましょう。お付き合いいただきありがとうございました。
 
寮の屋上から どちらかが毎日に疲れたらカナダ人とここに行きます

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