フランス バイオ産業大学


Coucou!

みなさん、こんにちは。佐賀大学大学院農学研究科2年の平野美佳子と申します。現在私はフランスのパリ郊外にあるバイオ産業大学(École de Biologie IndustrielleEBI)で、交換留学生として9月から1月末までの1学期間フランスで勉強しています。

数年前からツナガル留学日記を愛読しており、まさか私が今こうしてタイプしているとは、当時の私は想像がつかなかったとは思いますが、今回私のフランス留学生活について張り切ってお伝えしたいと思います。この投稿をご覧の皆さんも1年後は我が身です!

 

▼バイオ産業大学(École de Biologie Industrielle: EBI)は...

まず、私はフランスのバイオ産業大学という技術系のプロフェッショナルを目指す大学に交換留学としてきており、主に研究を目的として参りました(結果的に、授業と研究の半分スタイルになりましたが)。この大学は5年制で、日本の大学制度でいう修士がとれる大学です。食事面では、皆サンドイッチやパスタ等のいわゆるお弁当を持って来るか、生徒による食事の提供(3.5ユーロ)があります。卒業パーティの資金集めのために行っているらしく、週に3回だけあります。



正面から見た夜の学校です。ガラス張りでオシャレに見えますが、建物はこの1つだけで、佐賀大学の方が広いです。





▼授業は、
研究といいつつも、憧れの留学であったことと、授業を1つでも取りたいということで、佐賀大学にはありませんが、非常に興味があった「免疫学」の授業を取りました(佐賀大学での研究内容とは近いです)。この授業は、講義と実習があり、これだけで週に3コマあります。こちらの授業は全てフランス語で行われていましたが、私の乏しいフランス語の知識と溢れ出る(と願いたい)パッション、そして先生や友人の優しさでなんとか過ごせています。意外とフランス語と英語の専門用語が似ていて勉強になります。元々フランス語のみでの授業でしたが先生が喜んで英語の試験にしてくださったり、今回は英語で実習するわよと言ってくださったり、分厚い参考書まで貸していただいたりしています。もともとはフランス語のみの授業と書かれていましたが、履修前に先生にフランス語は乏しくても可能かどうかを尋ねに行きました。



(微生物学の実験実習。本来であれば微生物操作にはクリーンベンチという無菌状態の部屋が1人1つ必要ですが、各机に見える緑のモノで無菌状態を作れるそうです。みんなが自分で最後まで実習をできる環境が整っています。)




▼私のフランス語能力は(+きっかけその1)、
おそらく仏検4~5級レベルで出発したと思います。もともとは大学1年から第2外国語として“ドイツ語”を取っており、フランスに行く直前(修士2年の夏)まで、ドイツ語の先生にお願いして、ドイツ語を習っていました。もう6年目になります。よく皆になんでドイツにしなかったのとつっこまれますが、私の最優先事項は何かと考えた時に、研究でした。佐賀大学の研究室では化粧品や食品に関わる機能性を調べていたため、化粧品産業トップのフランスの大学で研究だけでなく、なぜフランス=化粧品なのか等の疑問も解消すべくして、選択しました。幸運なことに、フランス語の授業を大学3年のときに1年間自由科目として履修していました。現在は、第2外国語は無くなり、文化と言語を学ぶ教養になっているそうですが、英語以外の言語は少しでも勉強すべきだなと思います。フランスでは大学生は勿論ほとんどの人が英語を話せますが(賛否両論ありますが私の大学ではほぼみんな話せます+マルシェ等ではほとんど話せません)、やっぱりその国の言語を話した方が、相手も嬉しいですし、少しでもフランス語を知っていたら、いざという時でも、なんとかやり過ごせます。佐賀大学にいるときに、留学生が“よかよか”と言ってくれた日にはとても嬉しかったです。

 

▼大学では、
本当に手厚いサポートを受けています。例えば、フランス語での専門の授業の際、英語の資料を貰ったり、試験を英語で受けたり。また、学生による支援サークルの方たち(佐賀大学でいうグローバルリーダーズ)から、授業の内容を英語でまとめたノートを見せてもらったり。そして、フランスを知って貰うために、留学生(意外と全部で10人)をエッフェル塔やヴェルサイユ宮殿等の観光名所に連れて行ってもらえる活動や、各国のお料理教室、ラクレットパーティなどのおかげで充実した学校生活を送れています。
 



▼言語との闘い
専門の授業は免疫学だけですが、あと2つ英語とフランス語を取りました。
この英語がまた圧巻で、ビジネス向けのもので、とにかく皆スピーキングをしなければいけません。フランス人の友人に聞くと、フランス人は高校生の頃から英語でレポートを書いたり、プレゼンテーションをしたりしているみたいで、日本にも是非取り入れて欲しいなと思います。私にとっては話す速さがとても速く、さらに私は母国語では早口なのに多言語がゆっくりしか出てこないので、ずっともどかしさを感じていましたが、その授業でみんなと同じでなくても、前回の授業の自分より一言でも多めに、など“自分と”戦って受けています。
 





▼いよいよ最大の目的である研究生活は...
そして、メインの研究のお話になります。私は漠然と、化粧品の応用について勉強したいと思い来ていましたが、EBIの研究室の先生とディスカッションしていると、私がやりたいことをしてよいと言われ、急きょ私の淡い知識と経験から、どんなことをしたいか考え出しました。勿論研究者の卵の卵ですので、実験に入るまでに結構時間がかかり、卒業の件も考え、少し焦りました。しかし、この計画の段階をちゃんとしておかないと、実験がうまくいかないと考え、落ち着いて論文とにらめっこしたり、先生と相談したりし今は、Tout va bien(全て順調)です。私の敬愛する佐賀大学の研究室の先生のアイディアには及びませんが、自分がやってみたいことを提案したところ、面白そうだね!とEBIの先生も乗ってくださり、話し合いや商品の注文などでサクサクとまでは進みませんが、確実に9月よりは進んでいます。研究内容は簡単にいうと、乳酸菌である物質を発酵させて、その美容的特性を調べ、最終的にはなんらかの化粧品の形にすることです。クリーム等を作ることは時間的に難しいかもしれませんが、なんとしてもどんな形でも夢を叶える、それがマダム ヒラノです。自分のアイディアが生徒の身分で通るだなんて私にとっては貴重でしたので、あと1か月弱で一生懸命頑張りたいと思います。しかし一番の問題点は、ここの学生(スタッフも)は土日祝、冬期休暇を全て休みます。実験がしたくてもできませんし、平日の実験も、担当の先輩か先生がいるまでしかできません。(18時くらいまで)。研究が出来ないと不満を言うのではなく、その土地の環境スタイルに臨機応変に合わせることが重要だと思います。そしてもし、研究だけをしたかったら、授業は取っても1つにすることをオススメします。時間を気にして焦ることが実験の一番の失敗要因だと思うので。





(Microbiologyの研究室です。基本的にはここで作業しますが、他の機械を使うときは透明扉越しの部屋や、白い壁越しの部屋で気軽に使用できます。)



(同じMicrobiologyの先輩お姉様方です。本当に優しく、笑顔で対応、フランス語での尋ね方も快く教えてくれて、とても楽しい研究生活を送れています。Un grand merci !





▼就職
私は6月に内々定を貰いました。そして10月1日に内定式がありましたが、面接の段階で、留学で参加できないかもしれないと伝えたところ、頑張ってきておいでと応援してくださったので、参加していません。企業によるとは思いますが、就活生の年で留学したい人は、早いうちに人事の方と相談すると良いと思います。
 

▼卒業(+きっかけその2)
私は修士2年で留学をしているのですが、今のところ順調に卒業できそうです。私は、修士1年の時に、出来るだけの単位を取っておき、修士2年では、研究に没頭する予定で、まだ留学は考えていませんでした。しかし、先程書いたドイツ語を続けていた点、そして周りの社会人になった友人のお話から、学生時代に海外で旅行以外の何かをしたいと考えるようになりました。それを昨年の12月に思いついたため、急いでスイスやドイツの企業に3か月間のインターンシップのお願いのメールを書きましたが、どれも半年以上のインターンシップであったため(ヨーロッパ圏では学年の最終年に半年のインターンシップをするそうです)、厳しかったです。そんな中、佐賀大学の提携先に、化粧品に特化したことを学べ、唐津市のプロジェクトであるコスメティックバレー構想の関係で佐賀大学とバイオ産業大学が、最近学術関係を結んだことを知り、山田直子先生の研究室にダッシュしました。これが2月でした。そこからは、あれよあれよと時が進み、留学となりました。小さいときから留学は憧れていましたが、自分なんかが行くことができない(能力面や金銭面)と思い込んでいました。しかし、能力面は佐賀大学に来ている留学生とのおしゃべり、金銭面は豊富な奨学金制度で、留学という夢が思ったよりずっと容易に叶いました。後は、この留学中とその後の努力を怠らずに頑張ろうと思っています。
 

▼私の住まいは、
9月からつい先日の11月まで、大学から電車で1時間の所で、同じ大学の子のお家にホームステイしていました。場所が遠いと考える人がいると思いますが、私は佐賀大学にいたときも、自宅通いで、電車や車通学で同じ時間かかっていたため、苦ではありませんでした。地理的には、唐津市がバイオ産業大学とすると、私の家は佐賀市、その真ん中(小城辺り)がパリという感じです。佐賀県にお住まいの拝見者は、あっ、無理じゃないとお思いでしょう。しかし切符が往復で2000円程かかるので、ほとんどの人がpass navigoというパリ市内(郊外も)まで電車で移動できる定期券を買っています。値段は学割で、1年間4万円くらいです。さらに私は、携帯をwifi下のみでしか使えない様にしているため、家か学校か駅でしかインターネットに繋げません。しかし、その代わり、電車の中で勉強に集中でき、よりたくましく、そして安全に過ごせています。
 

▼ストライキ
パリは本当にストライキやデモが多く、丸1日電車がストップした日もありました。東京でそんなことがあったら大パニックですよね。でも、ここでは日常茶飯事で、国民が暮らし方を変えると意気込む人が多く、その行動力は見習いたいとも思いました。しかし、電車がストップするのは困りますが、先生も分かってくれてその日は休んでもいいよと言ってくださいました。しかし、125日から無期限で交通関係のストライキがあり、10、20年ぶりの大きなストライキで電車が全てストップするかもしれないという事態を聞いたため、違うホームステイ先に移動しました。フランス語や英語を日常的に使いたかったので、寮ではなく、ホームステイに絞りました。1件目は、大学のグローバルリーダーズのグループに尋ねて見つけてもらい、2件目はパリに住む日本人の知り合いの方の伝手で見つけることができました。フランスではホームステイはメジャーではないらしいので、諦めずにアタックすることが大事だなと思います。
 

▼休日は、
私は日本でクラシックバレエを習っていたので、本場パリでも練習を続けています。寒い冬のために体を作らなきゃという思いもありました(年をとると大事なことです)。ここでは年齢層も広く、楽しく練習が出来ています。勇気を持って踏み込んでよかったです。やっぱり、人間1つは趣味(自慢できなくても)を持っていたら良いストレス発散になるなとシミジミ感じました。なんでもいいと思います。日本で同じ研究室の仲間が、パン屋さんめぐりをしてメロンパンを買っていると言っていた事を思い出し、パリのパン屋さん巡りもしています。学校帰りに気軽にパリに行けるだなんて、オシャレな響きだと胸を張って言いたいです。

 
▼足跡
フランスは色々な国が隣接して、他の国にも旅行に行こうと考えていましたが、フランス、しかも皆が1度は憧れるパリにいるならばパリを制覇しなきゃと思い、Passnavigo(定期券)を使って、あらゆるところまで行きました。そのおかげでザ・いわゆるの観光名所のマップが頭の中で表示できるくらいになりました。
しかし、ドイツ語も勉強していたことと、アクセスが3時間と良いことから、ドイツのケルンとドルトムントにも行きました。私は、他国に行く=世界観が広がると思っています。





(自宅から電車で40分のところにディスニーランドパリがあります。なんと贅沢な!)


2013年度~グローバルリーダーズで大活躍されたMiki KITAMURAと世界最大級のクリスマスツリーを背景に。






▼こんなところに日本食、
日本食が恋しい!や、日本食を披露したい!とお思いの方々も多いと思いますが、日本食があらゆるところに売ってあります。私はスーツケースの重量の関係で白だしとみりんを泣く泣く置いてきましたが、普通に売ってあり(値段が3倍くらいしますが)、お菓子もキットカット、きのこの山、UFO等のカップ麺、(そして私の愛ビールの淡麗)まで、たくさん見かけました。日本酒や焼酎も有名どころはあったので、人にお土産として持って行くときは、もっとマニアックなものがいいのかな、とも思いました。
 

▼奨学金
私はフランス政府の奨学金の1部である、ヴァルドワーズ県からの奨学金を頂いています。主に英語でのモチベーションレターでの審査でした。お金の支給の他に、ビザ申請料の免除や航空券代の免除があり、とても助かっており、集中して勉学に励めています。ですが、ホームステイ代を全てこの奨学金で賄おうとしていましたが、フランスの事務手続きが遅く、毎月終わりに貰えるはずだったものが、12月中旬になったことは少し焦りました。フランス人にとっても、フランスの事務手続きの遅さは毎度怒りものらしく、もしもの場合を考えて対策する、そして遅いなと思ったらすぐメールなどの行動を起こすことが大切だと思います。ここに来て、少しだけ遠慮する、という日本風考えをなくして生きていますが、国によって性格や意識を変えることは大切だと思います。

 
▼最後に、
今、私がwordを開いてこの日記をつらつらと書いていられるも、本当に多くの人に支えられたおかげだと、心から感謝しています。そして、佐賀大学は全ての人の海外留学の夢を叶えることができると思います。
これは私の美学なのですが、この投稿をご覧になっている人は、海外で何かを学びたいと思っている人がほとんどだと思います。そこで、この“何か”に優先順位を付けることが大事だと思います。例を挙げると、語学、研究、講義、デザート、旅行、読書などやりたいことが沢山あると思います。私は留学の際、やりたいことを上位1,2,3位と付けています。ほとんどの人は語学が上位だと思いますが、どれもやれてない!どれからしたらいいのか!と焦る時がくるかもしれません。その時は、優先順位を決めます。シンプルなことですが、心に刻むと、優柔不断や捨てられない性格の人でも自然と取捨選択ができるようになります。
 
長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました。今回の留学において、皆さんの多大な応援やサポートのおかげで凄く素敵な経験が出来ています。心から感謝申し上げます。将来の日本、佐賀の発展のためにこれからも頑張ります。
 
佐賀大学大学院
農学研究科2
平野 美佳子






 

 

 

 

 


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