フィンランド ユバスキュラ大学

Moi!佐賀大学教育学部4年生の古池伶美です。
 
私はトビタテ!留学JAPAN11期の地域人材コースとして、フィンランドに留学しました。今回は、留学するにいたった経緯やフィンランドでの生活の様子、フィンランドの教育制度などをお話しできたらと思います。
 
私もはじめは留学するまで、そして留学してからも様々な困難がありました。今回は、この文章が教育にかかわる人たち、留学することに悩んでいる人たちに役に立てたら嬉しいです。
 
1.留学しようと思ったきっかけ

でははじめに、私が留学しようと思ったきっかけについてお話ししたいと思います。私が留学をしようと決断したのは3年生の教育実習を行ったときでした。生徒たちと接していくうえで、どこかクラスで漂うカースト制度、発達障害で周りの子となじめない生徒、平気で友達を傷つける言葉を使う子たち。このような状況の中、私は自分がどう対処すればいいのかを悩みました。叱ることは簡単でも、根本的に問題を解決するにはどうしたらいいのか…、そう思っていた時に、フッと頭によぎったことが、「留学」でした。そもそも、高校の頃から海外留学をしたいとは思ってはいたものの、なんとなく時が過ぎ、大学3年生にまでなっていました。海外の教育は日本とどう違うのだろう、海外の教育を知ることで私の視野も広くなるのではないだろうか、そして挑戦するならもう今しかない!ということで、教育で有名なフィンランドへ留学することを決断しました。


2.留学するまでの困難



①お金の問題

さて、留学すると決めたはいいいものの留学するまでに困難は付き物です。まずは、お金の問題。フィンランドは物価が高く、ただでさえ1年卒業を遅らせたため、親に頼ることはできませんでした。どうしたものか…と悩んだときに見つけたのが、「トビタテ!留学JAPAN」でした。トビタテ!留学JAPANとは、文科省と民間企業が連携して留学する学生を支援プロジェクトで、返済不要の奨学金のほか、留学準備金まで支援してもらえる、留学をする人にとってはとても有難い手厚い奨学金です。留学を考えている人はぜひチェックしてみてください。

語学力
もう一つの問題は、語学力です。ユバスキュラ大学へ交換留学するには、指定されたTOEFLの点数をクリアする必要があります。しかし私の点数ではまったく届かず、はじめてのスコアは540点に対して440点という驚きの低さでした。そこからは英語漬けの日々。TOEFL対策の参考書を借りまくり、学校でも家でも英語学習をしました。通学している際もリスニング用のCDを聞き続け、オンライン英会話や隙間時間には大学が留学予定者へ用意してくれている英語のインターネット学習サイトを利用しました。そんな生活が1年ほど続いた結果、交換留学を実現することができました。留学を考えている人は早めの対策をお勧めします。
 
3.フィンランドでの生活

①学校での生活
私が留学したのは、フィンランドのユバスキュラ大学です。90分の授業で間には10分間の休み時間があります。私は教育学部だったので、主に教育関連の授業を選択しました。授業は日本の大学の授業と違い、ディベートがほとんど授業の中にありました。ただ聞くだけの授業ではないので、書く・読むだけの英語力ではなく、聞く・話すという生きた英語力が必要です。留学を考えている人は、このような英語力も含め鍛えたほうがいいと思います。
お昼は、学食があります。学内にはレストランのような学食が沢山あり、それぞれのレストランで日替わりメニューがあります。300円ほどで野菜やパンなどは好きなだけおなか一杯食べることができるので、自炊している身にとってはとても助かりました。
 
②学生寮での生活

私が住んでいたユバスキュラ大学の寮は月30000円ほどで、ロシア人の女の子と同室でした。ですが自分の部屋はあり、キッチンと浴室をシェアする形でした。 また、寮にはサウナがあり、好きな時に行くことができました。サウナ文化が有名なフィンランドというだけあり、冬の寒い時期のサウナは体がとても温まります。





私が住んでいた部屋








ロシア人のルームメイト







フィンランドの教育


教育制度

さてここからは、教育についてもお話ししたいと思います。まずはフィンランドの教育制度についてです。福祉国家で有名なフィンランド、教育内容もとても充実しています。フィンランドに住む子どもたちは、プレスクール(小学校に入学する1年前に通う学校)から大学・大学院まで学費が無料です。「すべての人に平等な教育の機会を与える」という理念のもと、このような政策をとられています。また、教師という職業もフィンランドでは大変人気のある職業です。教師になるには修士号が必要なため、教師の質が担保されていることから、保護者からの信頼が厚いです。実際、私が小学校へ授業見学を行った際も、大学生は日本のように教育実習として短期間で集中的に教育実践を踏むのではなく、日常的に小学校へ訪問して授業を行ったり見学したりしていました。また、教師といっても、就業時間は6時間ほどであり、10週間ほどの長期の夏季休暇もあることも教師が人気の職業である理由の一つかもしれません






小学校の授業の様子








④いじめ防止プログラムKiVa
そして私が一番興味のあることだったのが、フィンランドのいじめ防止プログラムKiVaというものです。いじめの傍観者にアプローチしたプログラムで、いじめの傍観者がいじめを助長しているというメカニズムのもと、傍観者を介入者に育てるプログラムです。いじめを未然に防ぐために、いじめについての知識やロールプレイ、PCを使用したいじめのシミュレーションゲームなどの定期的に実施されるプログラムに加え、いじめ問題が起きた時に特定の児童生徒やグループを対象にしたプログラムからなります。
いじめとは、日本だけの問題ではなく、世界の至る所に存在する問題です。日本でも近年になってメディアの影響もあったことから、いじめについて注目されています。しかし、いじめを苦にした自殺はいじめ問題の一部にすぎません。いじめとはどの学校にもどのクラスにもどの子どもにも起きてもおかしくない問題です。
このような状況を変えるべく、私はこのKiVaプログラムを日本でも応用することができるのではないかと考え、現在卒業研究に取り組んでいます。




4.これからのこと





留学が終了した今、私がこれから考えていることはいじめプログラムの開発です。いじめを苦にした自殺問題が社会問題となっている昨今、いじめをどう予防していくかが大きな課題となっています。子どもたちが安心して学べる機会を保障するには、このいじめ問題と向き合っていくことが不可欠です。なので、ゆくゆくはこの留学で得たフィンランドの教育観も含めた海外の知見を取り入れた、日本でのいじめ予防プログラムを開発したいと思います。いじめはいつ・どこで起きてもおかしくなく、なくなることはないと思います。ですが、かといって予防することができないかといったら、そうではありません。教育実習で得たきっかけから今は、このような目標を得ることができました。まだまだ研究中ではありますが、いつかプログラムを開発することを目標に頑張っています。
 
以上が私の留学日記です。コロナの影響を受け留学期間が短くなってしまいましたが、それでもこの時に出会えた友達や思い出はこれからの私の糧となることでしょう。留学で悩んでいる人たちは、一歩勇気を踏み出してみてください。やってみたいという気持ちを恐れず、その気持ちを大事にしてください。私は卒業を1年遅らせ、仲のいい同級生と同時に卒業することはできませんでしたが、案外なんとかなるものです。大学という貴重なこの期間の中で、留学というチャレンジができたのは本当によかったです。思い立ったが吉日、ぜひ留学について考えている人は行動してみてく
ださい。

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