リトアニア ヴィタウタスマグヌス大学


リトアニア・カウナス           地域デザイン学科3年 江口舞

 

 皆さんこんにちは。私は2020年1月から3月までリトアニアの大学へ交換留学に行きました。当初は半年留学の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で3月に緊急帰国し現在は佐賀大学の方で通常の授業を受けています。異例の留学中断でしたが、現地にいた2ヶ月間で体験したことを以下にまとめます。

 

交換留学先:リトアニア ヴィータウタスマグヌス大学




.きっかけ
 英語の独学を続ける中で、ふと実際に欧州に行き実践の経験を積んでみたいと思ったのが留学を決めたきっかけです。また、以前大学のSUSAP(短期海外研修プログラム)で1ヶ月間台湾に行った際、違う文化背景を持つ人々と英語で交流することの楽しさを痛感したこともきっかけとなりました。
 
 
2. リトアニア
 リトアニアは東欧に位置する人口約280万人の国です。公用語はリトアニア語ですが、ロシア語や英語も話されています。過去に二度ロシアに征服されながらも自国の言語と文化を現在まで継承し続けたという歴史を持っています。自然が豊かで中世の街並みがそのまま残されている都市もあり、人口のおよそ8割がカトリック教徒です。第二次世界大戦時に日本人の杉原千畝が現地カウナスでビザを発行しユダヤ人を助けたこともあり、親日国家であると言われています。EUに加盟しており、通貨はユーロです。



リトアニア Googleマップより
 
カウナス市 中世の街並み




3.ビザ

 リトアニアは日本人の場合90日以内であればビザ無しで滞在することが可能ですが、今回私は半年滞在を予定していたため長期滞在用のビザを取得しました。私は現地で取得しましたが、東京にあるリトアニア大使館で渡航前に取得することも可能です。現地での取得は大学からの説明があったため、さほど苦労はしませんでした。ちなみに、日本で取得する場合は東京の大使館に一度面接に行く必要があり、取得までに1ヶ月ほど時間を要するみたいです。ただ、日本で事前に取得しておけばスムーズに入国でき現地でも余裕が持てるので、時間がある方はビザを渡航前に取得すると良さそうです。




4. 留学費用について
 リトアニアは物価が安いため、家賃や交通費など全て含めて月45万円ほどで生活できました。航空券は片道8万円ほどかかりましたが、フィンランド航空で上手く券を取れば往復10万円以内で収めることができるそうです。また、授業料は佐賀大学に納めているため交換留学先の大学で払う必要はありません。
 年度により異なりますが、交換留学の際には大学から15万円〜30万円、もしくは月額の奨学金をいただけることがあるため気になる方は調べてみてください。
 
 
5. ヴィータウタスマグヌス大学
 ヴィータウタスマグヌス大学はリトアニア第二の都市であるカウナスの中心部に位置する国立大学です。多様な国から留学生を多く受け入れている大学で、英語で開講される授業が多くあります。生徒数はおよそ8000人で学部が10個あり、各学部の建物が街中に点在しています。教養の授業などが行われるメインの建物は近代的な内装で大変綺麗です。また、図書館は学部の建物それぞれに設置されていました。
教養等の大学図書館





6. 大学生活
 私は学部生として留学したため、芸術学部に所属し芸術や教養の授業を主に履修しました。今学期は英語で開講される芸術学部の授業が思ったより少なかったのですが、写真の授業などを他の留学生と一緒に受講しました。この写真の授業ではフィルムカメラを使用し、撮ったフィルムを自らの手で現像する手法を学びました。現像の作業は特別な設備と道具がなければ出来ないため、貴重な体験でした。教養の授業では英語やリトアニアの文化などを学習しました。現地での授業は生徒が主体となるものが多いため頻繁に飛んでくる英語での質問に最初は戸惑いましたが、自分の意見を素早く英語で伝えるという良いトレーニングになりました。
 今学期は新型コロナウイルスの影響で途中帰国した留学生が多かったため、ヴィータウタスマグヌス大学はオンライン授業を行っています。留学生は帰国後もオンラインで大学の授業を受講でき、単位を取得できるようです。ただ、私の場合は芸術学部の授業は実技が多くオンラインで配信されないことや佐賀大学で今学期からの通年科目があることなどから、オンライン授業の受講を断念しました。どの授業も最後まで受講できなかったのが心残りです。大変短い履修期間でしたが、他学生と英語で学ぶことの難しさとその倍の楽しさを感じた2ヶ月間でした。
教養等の講義室
7. 日常生活

 住居
 私は大学寮に住んでいました。留学生向けの寮は大学管轄のものが2つとその他のものがいくつかあり、私が住んでいた大学寮はキャンパスから少し離れたところにありました。街の中心部までバスで20分ほどかかる場所でしたが、寮の周辺は自然が豊かでジムやスーパーもあり暮らしやすかったです。家賃は一人部屋でも月14000円程度で、複数人の部屋となると月1万円以下で生活することができます。私は一人部屋に住んでいましたが、部屋は広く、冷蔵庫やロッカーもあり快適でした。
 ちなみにリトアニアは、冬は氷点下1020度まで下がるほど寒いのですが、今年は暖冬だったため気温は低くてもマイナス4度でした。とはいえ冬は基本的に気温が低いため、現地の人は防水のブーツやダウンを着用していました。


食事
 リトアニアの食材は日本に比べると安く、外食も安価でした。種類によって値段は変わりますが、例えばクロワッサンは135円程で、レストランで食べるパスタなどは1500円程度です。リトアニアの料理は素朴な味付けのものが多く、とても美味しいです。また、大学寮には各階に2,3個共用のキッチンがあるためそこで自炊もしました。キッチンでは他の部屋に住む留学生と交流できるので、授業以外でも友人を作ることができました。海外の友人達と一緒に料理を作ったのはとても良い思い出です。




リトアニア 伝統料理 ツェペリナイ




8. リトアニアの人々

 リトアニアの人々は一見無愛想に見えることもありますが、少しシャイで親切な方が多いと感じました。渡航してすぐの頃は初めてのヨーロッパ滞在に不安を覚えることもありましたが、リトアニアの人々や他国から来た留学生と関わっていくうちに毎日が充実したものになりました。重い荷物をバスに乗せるのを何度も手伝って頂いたり、私の質問に対して身振り手振りで親切に教えてくださったり、リトアニアの人々からしていただいた親切は数え切れないほどあります。チューターの友人もいつも親切にしてくれました。40代以上の方は英語が話せない方も多いのですが、言語が通じないからこそ親切に接することの大切さを学んだ気がします。



9. 新型コロナウイルスと緊急帰国

 新型コロナウイルスの世界的な流行により、3月中旬頃に大学から帰国命令が出ました。この時リトアニアの感染者数はまだ十数名だったのですが、政府は既に国境封鎖や食料品店以外の閉店を行っており、政府の対応の速さに驚いたのを覚えています。この頃ヨーロッパ各国が次々と国境封鎖を断行したため殆どの国際便がキャンセルとなり、帰国するのに一苦労しました。

 帰国難民となり得る状況で焦りも募る中、現地で出会った日本の大学の先輩方には様々な面で大変お世話になりました。今回のように留学先では何が起こるか分からないため、普段から人との出会いを大切にし、トラブル時にも冷静な判断を心がける必要があると痛感しました。

 

 

10. まとめ

 2ヶ月間という短い留学生活でしたが、様々な経験を経た今、視野が広がり思考が柔軟になったと私は感じています。書きたいことがまだまだ沢山あるのですが、とにかく日本国内では決して得ることのできない貴重な体験が数多くできるので、興味のある人は是非留学して欲しいです。最後に、交換留学という素晴らしい機会を与えてくださった方々に心から感謝しています。

 アーチュ!(ありがとう!)







カウナス城

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