オーストラリア ラトローブ大学(教育学部 4年 井野口陽一)

 

こんにちは。20237月からオーストラリアのラトローブ大学に留学しています、教育学部の井野口陽一です。今回、留学の実際をできる限り詳しくお伝えしようと思いますので、最後まで読んでいただければ幸いです。

 

<留学のきっかけ>

コロナで一時は留学を諦めかけていましたが、留学やワーホリを始めている周りの同級生や友達の影響を受け、留学への気持ちが高まり、今回に至ります。実際、私は現在大学5年目で、大学の単位を取り終え、ギャップイヤー 形式で1年間の交換留学を実現させています。今回の留学に先立ち、中学校英語教員というキャリア構想から逆算し、学習指導要領や自治体の教育政策などの資料を引用し、留学後の将来ビジョンを具体的に固め、第1に「異文化の体現者となる」というスローガンを掲げ、留学先では教育倫理、そしてGlobal Educationの一環であるSDGs教育(ESD: Education for Sustainable Development)、教育分野におけるICT活用能力について学びを深めるため、今回の留学を決意しました。その結果辿り着いたのが、cultural diversityを尊重し、教育では”equity”を推進し、SDGs に力を入れている、オーストラリア、ラトローブ大学への交換留学でした。

 

<留学に向けての事前準備>

志望理由書は、私のゼミの指導教員のご指導を受け、半年かけて作成しました。語学力に関しては、ラトローブ大学はIELTS 6.0が最低ラインとして求められます。しかしこれはaverage 6.0ではなく、all band 6.0 (4技能それぞれで最低6.0を満たすこと)ですので、ラトローブ大学を考えている方は、間違えないように気をつけてください。私はこれを達成するまでに4回試験を受け、1年かけて取得しました。

私は学部2年生の頃から、東京の学生団体(TSGG: Tokyo Student Guide Group)に所属しており、English Conversationに参加し、スピーキング力を磨いてきました。これ以外にも、LINEOpen chatmeetupを介した英会話コミュニティにも参加していました。そして前述のTSGGは、留学を目指している、そして留学を実現させている意識の高い学生が多い学生団体でもあり、お互い励まし合いながら、メンバーとの交流を深めつつ、自分のモチベーションを保っていました。それ以外の技能は、問題集を使って勉強していました。

 

<留学先の授業>

授業は週4科目で、1科目あたりの授業時間は2時間です。これを聞いて、「あれ?たった週4教科だけなの?」と思った方いるかもしれません。しかし、日本の大学とは大きく異なり、こちらでは、1教科あたり4〜5時間程かかる量の予習を授業の前にすることが求められます。それは、授業前にポータルサイト(LMS: Learning Management System)class materials(主に学術論文や文献の内容、参考資料、関連動画、授業の内容の説明・解説)がアップロードされており、これらを予習した上で授業を受けます。授業では、ディスカッションや、教員必携(VIT code of conduct, Australian Professional Standards for Teachers)に照らし合わせ、ケーススタディを扱って生徒指導・対応についての討論も盛り込まれており、予習前提で授業は進んでいきます。また、1時間の授業の中で学術論文3本分の説明があるのも珍しくありません。そのため、授業を受ける前の予習が必須で、1教科あたり15単位というのが頷けます。日本とは大きく違う点として、こちらでは授業や期末試験(レポート)だけでなく、予習復習がかなり重要な要素となってくる点です。ちなみに、私が履修した授業の環境としては、私だけが留学生で、私以外はdomestic students(オーストラリアの教育を受け、オーストラリアで主に教員を志望する学生)でした。私が留学生であることを伝え、こちらの学校について分からないことを尋ねると、Googleで検索しながら教えてくれたり、私のグループの学生は、私がプレゼンのやりたいところを先に決めさせてくれたりして、サポートしてくれました。

グループ発表(最終課題)に向けて、
グループメンバーと準備を進めている様子

 

<授業以外の過ごし方>

授業以外の過ごし方として、友達とシティに出かけたり、一緒に食事したりしています。2学期の間は、学生寮に住んでいましたので、同じフロアの人と話したり、友人から寿司パーティに誘われて参加したりしていました。ビクトリア州の観光名所であるGreat Ocean Road, Phillip islandへの、Real Australia主催のオリエンテーションツアーにも参加し、そこで他の国からの交換留学生ともつながりました。そこで知り合った学生とセメスター終わりにランチをしたり、水族館に行ったりと交流を深めました。また、9月と11月には、現地の中高一貫校で日本語の先生として働いている方と繋がり、学校体験も兼ねて、その学校で日本語の授業のTeaching Assistantのボランティア、そして現地の生徒を相手に授業をさせていただきました。9月の訪問では、11年生と12年生の日本語の授業見学と、私のゆっくりと話される日本語の自己紹介を聞いて、生徒が聞き取る活動をしたり、生徒の日本語の文法指導のアシスタントをしたりしました。11月の訪問では、日豪の夏休みの過ごし方について知るため、Let’s share how we spend the summer vacationというテーマで、日本とオーストラリアの地理や文化の違いにも触れながら、英語で日本の夏休みの過ごし方について発信しつつ、7年生8年生のクラスで、オーストラリアでの過ごし方に関するプレゼンを含む4080分間の授業をさせていただきました。私の夏休みは旅行や友達と過ごすだけでなく、学生寮から出て、ホームステイにも取り組んでいます。ホームステイはAHN (Australian Homestay Network)を通して申し込みました。家族構成は両親と小学校高学年の子供2人です。ホストファミリーと過ごしていく中で、バーベーキューをしたり、Day Tripに連れて行ってくれたり、シュノーケリングの方法についてプールで教えてくれたりと、様々なことを体験しています。



Great Ocean Roadツアーで仲良くなった留学生




友人とハイキングに行った時の様子



寿司パーティーの様子




ホストファミリーとのDay trip



<留学中で困難だったこと>

1つ目は、グループ課題での困難です。最初のセメスターで、現地の学生との共同プレゼンの時、現地の学生4人とのグループに分けられましたが、準備を進めている段階で、仕事で忙しい学生がいて、全員の都合がなかなか合わず、課題準備がどんどん先送りに…と葛藤することもありました。ここで留学前にTSGGに所属する私の友人が、「明らかに1人や他のメンバーだけでやった方が早いことでも、グループワークではメンバーの帰属意識を高めるために、全員で取り掛かることができる時間を見つけることが大切」と私に教えてくれたのを思い出しました。結果的にはうまくいき、現地の学生を尊重し、どのようにしたらメンバーと協力して物事をうまく進めることができるかを常に考えていました。その中で、全員が集まれる時間が限られる中、効率よく課題を進めるために、テキストメッセージとリアルタイムとを有効活用し、メンバー全員でのグループ課題がスムーズにできるように取り組みました。例えば、役割を先に決める、グループ間で共同編集できるDocumentを作成し、そこに打ち込んでもらう。こうすることにより、メンバーにも進捗を伝えることができ、流れを確認しながら進めることができます。そして思いついたものがあれば、チャットで提案し彼らの意見を伺ったり、メンバーの意見に反応したりして、共同プレゼンの準備を効率よく進めることができたと思います。

 

2つ目は、留学先の国の教育システム、カリキュラムについて予習の必要性です。私が履修したSDGs教育の科目では、4年生の科目ということもあり、現地のカリキュラム(私の留学先の場合、Australian Curriculum, Victorian Curriculum, VCE)ベースとして、Sustainability Educationに関する10時間分の単元の学習指導案作成の課題が出ました。こちらのカリキュラムについて習っていない、受けたことがないは当然通用しませんので、オーストラリアの教育を受けたことがある友達に履修システムや内容について聞いたり、学年や教科選択のアドバイスを受けたり、休日や授業終わりなど空いている時間があれば、こちらのカリキュラム等について独学し、さらに授業の担当教授に時間の都合をつけてもらい、私の学習内容に関する構想計画や悩みを共有し、教員の助言や支援を得ながら、日本とオーストラリアのカリキュラムのdual approachで、この指導案の課題作成に努めました。留学先で事前に予測可能なことで頭を抱えないためにも、そして自身の学びをより充実させるためにも、教育学部の方は特に、留学先の教育システム(教科の目標や内容、学校のシステム、学校教育の特徴、日本との違い)、教育カリキュラム(日本で言う、学習指導要領など)を留学前に予習しておくことを強くお勧めします。この取り組みは、留学先の「国」を知ることにつながります。これは教育学部に限らず、法学専攻や、経済学、政治学専攻の方にも当てはまることだと思います。

 

ここまで私の留学の実際について発信していきましたが、私はJuly intake studentでもあるので、現地の学生とスタートラインも異なり、最初は何もかも分からない状態でしたが、活動していく中で、自分からしっかりとアクションを起こしつつ、周りのサポートを受けながら留学生活を過ごしてきました。何か留学について聞いてみたい、気になっていることがあれば、私でも大丈夫ですので、ぜひ経験者に伺ってみてください。





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