中国 ・ 北京工業大学 (理工学部理工学科・応用化学コース3年 徐吴凡)

 

   こんにちは!20252月から一年間、北京工業大学で交換留学している理工学部応用化学コースの徐呉凡です。私は応用化学クラスに入り、現地の学生と一緒に講義を受けたり、遠足に行ったりしました。この日記は主に私の故郷である北京と、北京工業大学の魅力、そして日々の生活で感じたことをお伝えします!

   創立当時の北京工業大学は化学工場が林立していた北京の東部郊外に位置し、建築と工業が強みでありました。今はデジタル化されたスマートでグリーンな工業の研究開発や、新しい需要にこたえられるエンジニアの育成に力を入れています。


(写真1)シンボルの建物「科学楼」   (写真2)おしゃれな逸夫図書館



時代の変遷に伴い、現在は大学の周辺にCBD地区が位置し、すごく都会な場所にあります。本部校区が都会に位置している分、施設が古く、敷地も狭いですが、研究の設備は新しくて完備しています。(狭いとは言っても面積は佐賀大学本庄キャンパスの3倍で、歩き疲れます)現地の学生の7から8割は北京出身で、久しぶりに聞く北京のなまりに親切さを感じました。北京で話される言葉は中国の標準語に最も近いので、皆さんが留学中で中国語を上達させたいなら、北京を選んだほうがいいかもしれません。

   渡航前の準備についてですが、多くの方が語るように、守らなければならない締め切りがとても多いです。これも留学の一環としても考えられるでしょう。私は現地のクラスに入って中国語で授業を受けるコースを選んだため、少なくともHSK2級は取得しなければなりません。言語資格やその他の書類は準備に時間がかかるものばかりですから、私を見習わず事前から準備をしておきましょう。

  これまでの一学期間、さまざまな講義を受けてきました。中でも印象的なのはアクティブラーニングの実施です。講義中では自分の意見を発する機会があり、パワポを作って発表する授業が多く、ほかの人や先生と討論する場面も少なくありませんでした。交流を通して互いに高めあう学び方を目にすることができ、学べることがたくさんありました。

  

(写真3)いつも講義を受けるのは真ん中の高い建物  (写真4)講義の様子



現地の学生たちの学習態度からも、私はたくさん励まされました。朝の一限は8時ちょうどに始まりますが、全然ギリギリを攻めずに5分前にはほとんどの学生が教室に集まります。また、ほとんどの学生が大学院に進むということもあり、夜に図書館に行っても自習する学生で机が全部埋まっていることに私は驚きました。つい先日、新しいルームメイトが来ました。彼は私より14歳年上で社会学の博士1年生です。年齢に関係なく、学ぶ意欲がある人はどんな状況でも努力をするものだなーと感激しました。

中国語は自分の母語ではありますが、化学を中国語で学んだことがなかったため、最初は世界共通語の化学式だけを頼りにしていました。中国語の専門用語とIUPACの系統命名法がほぼわからない状態で授業に臨んだため、授業後に用語などを調べて、ようやく授業内容を理解できていました。渡航前にもっと勉強すればよかったと強く感じました。他の留学生のように言語で生じる困った経験は起こらないと思い、油断していましたが、自分の専門分野で恥ずかしいことになりました。クラスに配属された時は既に2年後期ということがあり、ほとんどの授業が深掘りした内容で、ついていくのに大変でしたので、予習復習は欠かせません。授業中での理解が一番ですが、幸いながら、特に難しい講義はスライドを配布してくれましたので、試験期間中はとても助かりました。

   化学実験の授業形式は佐賀大学に似ていますが、スケジュールがすごく詰まっています。一回の講義で一つの実験を終わらせるため、時間がかかる実験は7時間ほどずっと実験室で過ごすことになります。レポート課題も単に実験後の提出だけではなく、予習レポートの提出も求められます。それに毎週2回程度の実験があり、常にレポートの締め切りに追われる感じでした。期末には実技試験と筆記試験の両方が行われるため、復習も大切になります。また、実験記録には操作を行った人、時間を細かく記録しなければなりません。さらに実験ごとに回答すべき事項が多いです。この中だからこそ、操作スキルと知識、そして将来を見越した能力をしっかりと身につけることができ、日々成長を感じました。



(写真5、6)実験装置とわずかな産物



   中国は国土が広く、地域によって文化や飲食などがかなり異なっています。また、56の民族が共存する国で、さらに近年は観光客も多くなり、街を歩く人々は様々な背景を持ちます。このような国ではすべての人にとって過ごしやすい環境づくりが大切です。大学には10か所の学食があり、さらに各箇所には10個程度のブースが入っていて、北京の食事に慣れない学生のためだけでなく、みんなが全国各地のグルメを楽しむことができるようになっています。さらにハラール対応の食堂も中にあり、イスラームの方も安心して食事ができる環境が作られています。これほど豊富なバリエーションにも飽きるようであれば、出前が安全かつ簡単に受け取れるロッカーも設置しています。食事代の一部を国が補填してくれるので、学食の価格設定も安価で、朝食は8元(約165円)、昼食と夕食は15元(約310円)程度で済みます。

北京の気候は乾燥していて、保湿クリームが常に必要だと感じました。その代わり、食べきれなかったポテチを開けたままにしても湿っていきません。夏は佐賀と同じような温度ですが、冬は氷点下が普通です。野菜などを冷蔵庫が入れなくても保存はできる、雪国ならではの過ごし方もあります。ありがたいことに、冬はすべての室内に暖気と呼ばれる暖房設備に温水が常時流れていて、薄着でも平気で過ごせます。ですから冬に関しては、直観に反するかもしれませんが、本当に北京のほうが過ごしやすいと思います。

この半年間、もちろん多くの留学生が楽しみにしている旅行にも行きました!雲南のカラフルな文化、泉の都市である済南、そして上海というモダンな都… たくさん視界を広げました。全国に広がる高速鉄道でどこへでも、日本の新幹線を超える速さでかつ安価で移動することができます。遠出ができない授業終わりや週末は、学内で散策をしたり、北京市内を回ったりしていました。四季折々の北京を楽しみ、体で感じました。

 

 (写真7)花が咲く校内   (写真8)天壇公園・祈年殿


この日記がこれから留学する方にとって参考になり、そして興味を持っていただけると幸いです。これまでの一学期間は私にとって確かな成長が感じられました。3か月近い夏休みが終え、今からの新しい学期の一日一日を大切に充実した生活を送りたいと思います。

準備期間や渡航後にわたり、支えていただいた佐賀大学および北京工業大学の先生方、職員の皆様に感謝申し上げます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


2025912

 

 





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