フランス・オルレアン大学(先進健康科学研究科修士1年)木野村菜々美

 こんにちは。先進健康科学研究科修士1年・木野村菜々美です。2025年9月~12月末までフランスのオルレアン大学で研究留学をしています。今回は私の留学のきっかけやフランスでの生活についてご紹介したいと思います。交換留学を考えている方、理系の研究留学やフランスでの留学に興味がある方の参考になれば幸いです。


画像 1 大学構内の池

 

きっかけ

私は元々食に興味があり、世界三大料理の一つに数えられるフランスに関心を持っていました。しかし具体的に留学という形を意識したのは学部4年生の夏頃です。指導教員の先生の知り合いの教授がオルレアン大学にいること、過去に同じ研究室の先輩がオルレアン大学で研究留学をしていたことを知ったのがきっかけで、留学という選択肢を考えるようになりました。そして研究室で研究をしているうちに、今と全く違う環境で研究をしてみたい、憧れのフランスに住んでみたい、という思いが強くなり留学を決意しました。

 

留学までの準備

私は留学を考え始めた時期も決意した時期もとても遅かったので、語学をはじめ、全ての準備がバタバタでした。特に私は中・高校時代から英語が大の苦手だったこと、TOEFLの受験や校内選考の書類の作成期間が卒業研究の時期が重なってしまったことで、とにかく時間の確保が大変でした。みなさんは私のようにならないように、留学を意識し始めたらとりあえず英語の学習を始めておくことをおすすめします。

ビザなどの手続きについてですが、フランスのビザは取得手順が面倒くさいことで有名です。しかし個人的に最も大変だと感じたのは、ビザ取得後のVISLEという住宅関連の手続きです。私はこれにとても手間取り、渡航1週間前にやっと家が確保できました。フランスは行政手続きが遅く、夏にはバカンスで大学担当者と連絡が取りにくくなるので、本当に早め早めの行動が大切です。

加えてフランスは担当者によって対応が全く異なるので、一度棄却された書類をもう一度同じように提出すると、次はなぜか受理されたりします。現地に行ってもこれはよくあることなので、どこをどう探しても自分の書類に不備がない場合は根気強く何度もトライしてみてください。

 

オルレアンについて

オルレアンはパリから公共交通機関で1.5~2時間ほどの位置にある都市で、市内の移動にはトラムやバスが便利です。またパリにとてもアクセスしやすいため、週末にはよくパリに遊びに行っています。個人的には佐賀大から天神に行くくらいの感覚です。

オルレアンはジャンヌ・ダルクにゆかりのある地域で、街の至る所に彼女を模した像やマークがあります。治安も比較的良く、夜も大通りを歩けば女性一人でも大丈夫です。

これまで学内や街でもアジア人差別などは感じたことがなく、むしろ日本人だと言うと高確率でアニメの話を振られるのでNARUTOと鬼滅、余裕があればJOJOと進撃の巨人あたりを見ていくことをおすすめします。


画像 2 オルレアン中心街のジャンヌ・ダルク像

画像 3 お祭り仕様のオルレアン大聖堂

 

次は気候についてです。私は9月から滞在していますが、日本よりしっかり秋があって、10月まではとても過ごしやすかったです。ただ暖房設備が日本と異なり、フランスでは壁に取り付けてあるヒーターのようなもので部屋を暖めます。しかしその主電源が建物単位でしか付かないので、暖房が解禁されるまでは部屋の中でもダウンを着ていました。

しかし12月になると、ヨーロッパは町全体でクリスマスに向けてお祭りムードになるので、最近は町を散歩するだけで活気があって景色も綺麗で楽しいです。


画像 4 オルレアンのクリスマスマーケットの様子

 

 

研究室生活について

私は研究留学なので、講義形式の授業は履修しておらず、毎日研究室で実験しています。日本で研究していた分野とは少し違いますが、分からないことがあっても丁寧に教えて頂けるので助かっています。ゼミにも参加させてもらい、所属しているラボの他のメンバーの研究内容を学ぶこともできます。使用したことのない機材や初めて行う実験をする際には、ラボの職員さんや先生がしっかりトレーニングをしてくれるので安心です。

研究室は基本的に917時の間で、基本的に16時を過ぎると帰る準備をするように促されます。遅くまで残らなくて良い反面、キリの悪い所で時間が来ると少しもどかしく感じますが、フランスでは家族との時間を大切にするために積極的に残業はしないので、時間内に終わらせるよう実験スケジュールをマネジメントするのも一つのスキルだと痛感しました。一方、その日の実験が終わると早上がりできたり、実験の計画上午後から行ったりと自由度が高いのはとてもありがたかったです。

画像 5 実験の様子


画像 6 ゼミの様子

 

 

課外活動について

寮はCROUSという、日本での大学生協のような団体が管理しており、多くの留学生がこの団体管理の寮に住んでいます。私の寮は一人部屋にシャワーとトイレ、冷蔵庫、机、ベッドが付いており、キッチンのみ共用です。フランスは機材トラブルなどが起きてもあまり保証サービスが充実していないことが多いのですが、CROUSはとても迅速に対応してくれるのでとても助かります。

放課後は寮の共用キッチンで同じ寮の友人と一緒にご飯を作ったり、加入したサークルの友人とボーリングに行ったり、大学が主催するイベントに参加したりしています。特に学期はじめの910月はイベントごとが本当に多くて、授業を受けていなくても友達作りにはあまり苦労しませんでした。

画像 7 寮の友達と作ったご飯

画像 8 ボーリング大会の様子

画像 9 ウェルカムパーティーの様子

 

土日やハーフセメスターのバカンスの時にはパリに出かけたり、少し足を伸ばしてフランスの地方に旅行に行ったりしています。学生ビザがあるとルーブル美術館やベルサイユ宮殿、オルセー美術館などの有名観光施設に無料で入場できるので、お金を使うことなくパリで遊べます。ただでさえ物価が高く、とうとう1€が180円を超えてしまった円安の影響もある中でのこの特典は本当にありがたいです。


画像 10 モン・サン・ミッシェル

画像 11 モナ・リザ

 

食事についてですが、流石世界三大料理ともあって、基本的に何を食べても美味しいです。ただフランスで外食をすると平気で2000円は軽く飛んでいくので、基本は寮で自炊をしています。

私は食べることも料理をすることも大好きなので、フランスの食材を使って調理するのはとても良い気分転換になっています。野菜類はマルシェが破格で、桃が1キロ100円くらいだったのには驚きました。基本的に物価は高いフランスですが、野菜と果物はマルシェに行けば破格で手に入ります。

学食は3.3€で、前菜・メイン・メインの付け合わせが2品・チーズかヨーグルト・デザート・ミニバゲットが付いてきます。かなり量が多いので私はいつもヨーグルトとデザートはお持ち帰りしています。


画像 12 学食

 

最後に

ここまで読んで頂きありがとうございました。

4ヶ月という短い期間ですが、これまでの人生で最も実りのある時間を過ごせていると思います。もし留学を迷っている人がいれば、一度留学生交流室の職員の方やチューターの先生、研究室の先生に相談してみてください!

最後に、渡航準備や渡航後にわたりご支援くださった留学生交流生の職員の方々、快く留学に送り出してくださった先生、研究室の皆様、本当にありがとうございました。




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