韓国・国民大学校(芸術地域デザイン学科地域デザインコース 4年)安東愛良

こんにちは。

20259月から12月まで、韓国・ソウルにある国民大学校に留学している安東愛良です。この記事では、私が留学に至るまでの経緯と、留学先での生活について紹介したいと思います。

1.         留学に至るまで

私はなかなか留学に踏み切れず、結果的に4年生の後期という、卒業を間近に控えた時期にようやく実現することになりました。まずは、その経緯についてお話しします。

中学生の頃から海外や外国語に興味があり、海外留学を漠然と夢見ていました。しかし、海外情勢について懸念する父の反対や金銭面の問題もあり、父を説得することも、自分で詳しく調べることもせず、端から留学に見切りをつけていました。

それでも外国語学習は好きで、趣味として続けていました。そんな中、海外留学はできずとも語学を活かして国際交流に関わりたいという思いから、大学3年生のときにグローバルサポーターズの活動を始めました。

この活動を通して留学生と関わる機会が増えるうちに、語学学習や留学への意欲はさらに高まっていきました。

3年生の夏休みには、国民大学校視覚デザイン学科の学生が、私の所属するゼミのプロジェクトに参加する機会がありました。これが、私が国民大学校を留学先に選んだ大きな理由です。国民大学校は韓国内でもデザイン分野に強みを持つ大学として知られています。国が違うからこそのデザインプロセスや着眼点、取り組み方の違いに加え、グラフィック制作の技術の高さに刺激を受け、そこでデザインを学びたいと考えるようになりました。

こうした経験を通して留学への思いは次第に強まりましたが、就職活動や卒業制作を考えると、なかなか決断には至りませんでした。そのような中、最終的に交換留学への応募を決めたきっかけは、周囲の後押しでした。

交換留学のラストチャンスとなる募集が3年生の12月に始まりました。その説明会が控えた時期に、ゼミで将来の進路について共有する時間があり、就職だけでなく、大学院進学や休学、留学など、様々な選択肢があるから、自分のやりたいことをするようにと、教授が話してくださいました。そこで留学への意欲を打ち明けたこと、さらに佐賀大学の外国人留学生から「留学を考えているなら絶対に行ったほうが良い」と背中を押してもらったことがきっかけで、ギリギリのタイミングで応募を決意しました。留学に反対していた父からは、「留学までに就職先を決めること」「休学や留年をせずに卒業すること」を条件に、許しを得ることができました。幸い、卒業に必要な単位は卒業制作を除いてすでに取得していたため、卒業制作のみ留学期間中もオンラインで進めています。

 

2.         留学準備

私が留学を決意してから、学内選考の締切までわずか1ヶ月しかありませんでした。申請には、留学の志望理由や学習計画、成績証明証、教員推薦書など、様々な書類が必要です。また、国民大学校はTOPIK(韓国語能力試験)3級以上という言語能力要件を設けています。私はこの条件について申請準備を始めてから知りましたが、以前から趣味として韓国語を学んでいたこともあり、すでにTOPIK6級を取得していました。そのため、この部分で慌てることなく申請を進めることができました。書類選考のあと、二次面接を経て、無事に学内推薦をいただくことができました。

その後も、奨学金や留学先大学への申請などで忙しい日々が続きました。特に、私の志望する視覚デザイン学科に所属するには、ポートフォリオも提出する必要があります。こちらは指導教員にアドバイスをいただきながら作成しました。

また、学内選考は通過したものの、デザイン学部は受け入れに制限があり希望先大学から断られる可能性もありました。実際に留学承認の連絡が届いたのは7月上旬で、制作や就職活動も同時に進めながらの追加書類(VISA、保険)の準備となり、8月下旬の出発ギリギリまで手続きに追われていました。

 

3.         現地での生活

【大学生活】

私は視覚デザイン学科に所属し、グラフィックデザイン、イラストレーション、モーショングラフィック、3Dデジタルグラフィックスの4つの講義を受講しています。授業は実習や課題制作物の発表が中心です。デザインといっても、コンセプトや考えを自分なりに整理し、言葉で伝える力がとても重視されています。コンセプトの論理的な説明や言語化の力が強く求められている点において、日本での制作との違いを感じました。他の学生たちの創造的なアイデアと表現方法に刺激を受けながら、毎日課題や発表準備に追われる日々を過ごしています。

11月には大学で造形展が開かれ、私も授業で制作したポスターを2点展示しました。展示は大規模で、他学科の学生たちの作品や過去の卒業制作も見ることができ、完成度の高い展示作品に大きな刺激を受けました。






また、授業以外ではGPSという、韓国人学生と交換留学生の交流を目的としたプログラムに参加しています。活動は月に1回行われ、同じグループの韓国人学生が観光地に案内してくれたり、一緒に食事したりして、放課後の時間を過ごします。昌慶宮でメディアアートショーを見たり、ボードゲームカフェで遊んだりと、楽しい思い出をたくさん作ることができました。


【住まい】

私は現在、大学からバスで20分ほどの場所にある「コシウォン(考試院)」という滞在施設に住んでいます。大学の寮を希望していましたが、収容人数に限りがあり、残念ながら配属が決まりませんでした。その連絡が来たのが出発の1ヶ月前で、そこから急いで住む場所を探すことになりました。

コシウォンは、もともと受験生が勉強するための滞在施設で、部屋のタイプも様々です。私の住んでいる部屋にはシャワーとトイレがついていますが、非常に狭く閉鎖的な空間です。快適とは言えませんが、家賃は光熱費や電気代込みで40万ウォン(約43,000円)、さらにラーメンやお米、洗剤、コーヒーなどが無料で提供されており、生活コストを抑えられる点が大きなメリットです。共同スペースにはキッチンや洗濯機があり、他の滞在者と譲り合いながら利用しています。

 

【休日】

正直、大学の課題がとても忙しく、週末も部屋にこもって作業をすることが多いです。

しかし、秋夕(チュソク)の期間には10日ほどの連休があり、このときは授業や課題から少し離れて韓国の文化を体験したり、観光に出かけたりすることができました。普段の忙しさとのギャップを感じながらも、現地での生活を実感する貴重な時間になりました。

 




また、日韓国交正常化60周年と2026年北中米ワールドカップ開催を記念した、日韓のサッカーレジェンドが対戦する特別番組に観客として招待され、サッカーの試合を観戦しました。

 


(サッカーレジェンド日韓戦)

4.         まとめ・伝えたいこと

現在は、各授業で期末評価に向けた最終プロジェクトを進めており、依然として慌ただしい日々が続きますが、残りの期間も悔いのないようにたくさんのことを吸収していきたいです。最終プロジェクトが落ち着いたら、これまで行きたかった場所を存分に楽しみ、現地での生活をさらに満喫したいと思います。

留学を決意するまでに時間はかかりましたが、大学生活の最後に、何事にも代えがたい経験ができたと実感しています。

留学に少しでも興味がある方は、思い切って挑戦してみてほしいです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。




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