ツナガル留学日記
こんにちは。佐賀大学大学院 理工学研究科
知能情報工学コース修士2年の髙津汰耀です。私は2025年8月からアメリカ・ペンシルベニア州にある Slippery Rock
University(SRU)に交換留学し、現在はすでに帰国しています。留学中は、授業や研究といった学業面だけでなく、生活やお金、医療など、事前には想像しきれなかった現実にも数多く直面しました。この日記では、留学に至るまでの経緯や現地での大学生活に加え、実際に経験したからこそお伝えできる「知っておくと安心できるリアルな部分」を中心にお話しできればと思います。
留学に至るまで
私は大学院でAIを用いたバスケットボールのフォーム分析を研究する一方、佐賀大学発ベンチャーの経営や留学生チューターとしての活動にも取り組んできました。こうした経験を通して、日本の大学教育や研究環境の良さを実感する一方で、より実践的な議論や、多様な価値観が交わる環境で学びたいという思いが次第に強くなっていきました。特にIT分野では、英語を共通言語として世界中の技術者や研究者が議論を重ね、新しい価値を生み出しています。その中心地の一つであるアメリカの大学で学ぶことは、自身の研究や将来像を大きく広げる機会になると考え、留学を決意しました。留学先は、IT教育と起業・ビジネスを横断的に学べる点に大きな魅力を感じ、SRUを選びました。
現地での授業
SRUでの授業は、学生の発言やディスカッションが前提となっています。日本のように講義を「聞く」スタイルではなく、「自分の考えを述べる」ことが強く求められました。正解は一つではなく、意見の背景や考え方そのものが評価されます。当初は英語のスピードについていくのが難しく、授業内容を十分に理解できない場面もありましたが、教授に相談し、復習や質問を重ねることで、次第に議論へ参加できるようになりました。この経験から、知識量だけでなく「リアルタイムで考えを伝える力」の重要性を強く実感しました。また、日本にいる時点では「ある程度英語は話せる」と感じていましたが、実際に他国から来ている留学生と比べると、特にスピーキングの面で大きな差を感じました。自分の意見を即座にまとめ、根拠を添えて発言する力が強く求められます。文法や語彙の正確さ以上に、「多少間違っていても話し切る姿勢」が重視されており、この点は文法を重視する日本の英語教育との大きな違いだと感じました。
現地での生活
キャンパスは自然に囲まれた落ち着いた環境で、二人一部屋の寮生活を通してルームメイトとの交流も深まりました。一方で、日本とは大きく異なる点として強く感じたのが交通手段の少なさです。大学周辺には公共交通機関がほとんどなく、学期の前後以外は、最寄りの大きな都市であり空港のあるピッツバーグまでは、事前に往復で約2万円かかるタクシーを予約して移動する必要がありました。その一方で、生活をより豊かなものにしてくれたのが、現地でできた友人との時間でした。週末には友人が車でショッピングモールやレストラン、自然の多い場所などに連れて行ってくれることも多く、自分一人ではなかなか行けない場所に足を運ぶことができました。アメリカでの生活を、より身近に感じられる貴重な経験だったと思います。また、友人たちと一緒にディナーを作ることもありました。それぞれの国の料理を持ち寄ったり、日本食を振る舞ったりする中で、自然と会話が生まれ、文化や価値観の違いについて話す機会にもなりました。こうした何気ない時間が、英語を使うことへの抵抗を減らし、コミュニケーション力の向上にもつながったと感じています。授業については、午前中に履修できるものが多かったため、午後は大学内のセンターや共有スペースで過ごすことがほとんどでした。友人と集まって課題に取り組んだり、雑談を交えながら英語で会話したりする時間を意識的に確保することで、授業以外の場面でも英語に触れる機会を増やしました。現地で開催されるイベントや交流の場にも、できる限り参加するよう心がけ、留学中にしかできない経験や人とのつながりを大切にしていました。
留学費用
留学準備を進める中で特に印象に残ったのが、費用の「支払い時期」です。留学費用は総額だけでなく、留学開始前後の短期間に支払いが集中しました。奨学金は、毎月の在籍確認後に入ってくるので、注意が必要だと思いました。私の場合、ビザ申請費用、留学保険、寮費、ミールプラン(学食利用費)などを含め、半年分として100万円弱の支払いが、最初の1〜2か月で発生しました。寮費やミールプランは前払い制で、分割は可能なものの、留学開始から比較的早い段階で支払いを完了させる必要があり、留学初期は想像以上に資金が動く時期だと感じました。留学費用は「いくらかかるか」だけでなく、「いつ支払うのか」まで含めて計画することが重要だと思います。
留学中のトラブル
留学中、40度を超える高熱と腹痛に見舞われ、現地の病院に搬送されました。検査の結果、緊急入院となり、最終的には手術を受けて、留学を中断せざるをえない予期せぬ事態に発展しました。アメリカの医療は高く、治療費はかなり高額に及びましたが、事前に加入していた留学保険によって全額カバーされました。この経験を通して、「留学保険は念のため」ではなく、「必須の準備」だと強く実感しました。異国の地での入院は大きな不安を伴いましたが、友人や大学関係者の支えにより、世界は思っているより優しいと感じることができました。この出来事は、異文化の中で支え合うことの大切さを学ぶ、忘れられない経験となりました。
留学前に知っておきたかったこと
帰国した今だからこそ感じるのは、留学前に「英語力」や「成績」以上に重要な準備があったということです。留学前は、どれくらい英語が話せるか、どの授業を履修するかといった点ばかりに意識が向いていました。しかし実際に留学してみると、生活環境への適応力や、分からないことを自分から質問する姿勢の方が、日々の充実度に大きく影響していると感じました。授業内容や課題の進め方、生活ルールなど、日本では「察する」ことで乗り切れていた部分が、海外では通用しませんでした。自分の状況を言葉にして伝え、助けを求めることは、決して恥ずかしいことではなく、前向きな行動として受け止められます。留学は「行けば何とかなる」という側面がある一方で、「準備している人ほど余裕を持って楽しめる」とも感じました。これから留学を考えている方には、語学や学業だけでなく、生活全体を見据えた準備をおすすめしたいです。
これから留学を考える人へ
留学には不安やリスクもありますが、行動した人だけが得られる景色があります。英語力や準備が完璧でなくても、目的を持って挑戦することが大切だと思います。この日記が、これから留学を考えている皆さんの一歩を後押しできれば幸いです。






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